高等植物の花や果実に赤,紫,青などの色を与える色素で,配糖体として含まれる.塩酸を含む水,メタノール,エタノールや酢酸によく溶け,赤色を呈する.エーテル,ベンゼン,クロロホルム,石油エーテルなどに不溶,アミルアルコール,ブタノール,プロパノールなどにきわめて難溶.水に難溶なピクリン酸塩をつくるものが多く,この性質は色素の精製に利用される.現在,花や果実から単離されている配糖体は50~60種類に及ぶが,加水分解して得られるアグリコンはアントシアニジンの3種類の型のどれかに属している.糖はグルコース,ガラクトース,ラムノース,キシロース,アラビノースあるいはこれらの2,3種類の組合せが見られ,3-グリコシドか3,5-ジグリコシドを形成している.花や果実の発色のもとになるアグリコンの種類がごく少ないにもかかわらず,それらの色調が千変万化なのは,アントシアニンが不安定なフラビリウム構造をもつため,細胞液のpHや共存するアントキサンチン類などによって微妙な構造変化を引き起こすこと,またツユクサやヤグルマギクの青色花で示されたように,アントシアニンが Mg2+ や Fe3+ と安定な青色錯体を形成することなどによる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…マーカートL.C.Marquartがヤグルマギクの花の青い色素をギリシア語の花anthosと青いkyanosを表す言葉からアントシアンと名付けたのに始まる(1835)。この一群の色素はほとんどすべて配糖体として存在し,色素の本体であるアグリコン部分はアントシアニジンanthocyanidin,その配糖体をアントシアニンanthocyanin,また両者をとくに区別しないときにアントシアンと呼んでいる。その構造の決定はドイツの化学者ウィルシュテッターR.Willstätterの研究に負うところが大きくヤグルマギクからシアニンcyanin,さらにペラルゴンpelargon,デルフィニンdel‐phininが分離された。…
※「アントシアニン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...
11/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/26 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典を更新
10/19 デジタル大辞泉プラスを更新
10/19 デジタル大辞泉を更新
10/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
9/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新