アントファガスタ(英語表記)Antofagasta

デジタル大辞泉 「アントファガスタ」の意味・読み・例文・類語

アントファガスタ(Antofagasta)

チリ北部、太平洋岸に面する港湾都市。アントファガスタ州の州都。チリが硝石しょうせき資源をめぐり、ペルーボリビア同盟との間で行った太平洋戦争勝利した結果、1884年にボリビアから割譲された。豊富な鉱物資源積出港として発展

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改訂新版 世界大百科事典 「アントファガスタ」の意味・わかりやすい解説

アントファガスタ
Antofagasta

チリ北部の港市。北部最大の都市で,人口26万2383(2004)。1879年まではボリビア領であったが,ペルー,ボリビアに対する戦争を経てチリ領となる。アタカマ砂漠におけるチリ硝石採掘の拡大とともに発展した。今日では硝石に代わって銅の生産が盛んとなり,その輸出港として,また鉱山への物資流通の中心地として重要な役割を果たしている。北東約250kmには世界有数の銅山チュキカマタ鉱山が,北にはマントス・ブランコス銅山があり,さらに未開発の大銅鉱脈を抱える。砂漠地帯にあるため,水はアンデス山脈から運んでいる。沿岸漁業は重要であるが,工業は食品加工,魚粉製造等に限られる。首都サンチアゴおよびボリビアのオルロアルゼンチンサルタ鉄道で連絡。市内にノルテ大学がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アントファガスタ」の意味・わかりやすい解説

アントファガスタ
Antofagasta

チリ北部,太平洋にのぞむ港湾都市。海岸山脈が急斜面をなしてモレノ湾にのぞむ地点にあり,同湾が天然の良港をなすとともに,大規模な防波堤で囲まれた人工港が建設されている。アタカマ砂漠の西部にあたる乾燥地帯にあり,雨がほとんど降らず,北東約 200km,アンデス山麓のロア川にのぞむカラマから水道が引かれている。 19世紀後半アタカマ砂漠の硝石資源と銀山の開発に伴って 1870年建設され,その積出港として発展。当初ボリビア領であったが,硝石利権をめぐって 79年チリとボリビアの間に太平洋戦争が始るとチリが占領,戦後 84年にチリ領となった。現在チリ北部最大の都市で,内陸の鉱山地帯への補給基地,および銅,硫黄などの積出港として重要な役割を果すとともに,商工業中心地であり,鋳物工場,精錬所,硫酸工場などのほか,食品,ビール,魚粉,造船などの工業が立地する。北部の文化中心地でもあり,ノルテ大学 (1956) ,鉱業専門学校,劇場などがある。パンアメリカン・ハイウェーに沿う交通の要地で,鉱山地帯と鉄道で結ばれるほか,ラパス,ブエノスアイレス両方面へ通じる国際鉄道の起点で,特に内陸国ボリビアにとっては,北のアリカとともに重要な輸出入港となっている。北郊には国際空港がある。人口 21万 8754 (1992推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アントファガスタ」の意味・わかりやすい解説

アントファガスタ
あんとふぁがすた
Antofagasta

南アメリカ、チリ北部にある太平洋岸の港市。チリ第2地域(アントファガスタ)の首都。人口29万8153(2002国勢調査速報値)。対ペルー・ボリビア戦争(太平洋戦争とよばれる)でのチリの勝利によってボリビアから1884年に割譲された。周辺にチリ硝石の主要産地があり、その積出し港として栄えた。硝石産業の衰退後、北東約250キロメートルにある世界最大の露天掘り銅山チュキカマタからの銅の積出し港となり、またチリ北部の経済の中心都市ともなっている。アルゼンチン、ボリビアに鉄道が通じている。

[細野昭雄]

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百科事典マイペディア 「アントファガスタ」の意味・わかりやすい解説

アントファガスタ

チリ北部,太平洋岸の港湾都市。銅,銀,スズ,チリ硝石の輸出港として知られる。1879年までボリビア領。ボリビア,アルゼンチンと鉄道で連絡する交通の要地。付近一帯はアタカマ砂漠で,350kmの水道でアンデス山脈から水を引いている。北東約250kmに世界有数のチュキカマタ鉱山がある。33万人(2012)。

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世界大百科事典(旧版)内のアントファガスタの言及

【太平洋戦争】より

…南アメリカの太平洋沿岸地域が戦場となったのでこの名がついている。現在のチリ北部のアタカマ砂漠地帯のタラパカ,アントファガスタ地方は,それぞれペルー,ボリビア領であったが,硝石,グアノ,銅などの鉱物資源に富み,しかも当時チリと接していたアントファガスタ南部は,19世紀初頭のスペインからの独立以来国境線が未画定で,これらの資源が主としてチリ人によって開発されていたため,紛争が絶えなかった。このため1873年,ボリビアはチリと条約を結んで国境線を画定し,この国境線より北の一部地域で操業するチリ硝石会社への課税を強化しない旨約束し,と同時にチリの力を恐れて極秘密のうちにペルーと対チリ相互防衛協定を結んだ。…

※「アントファガスタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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