秋の宵、ほとんど頭上に見える星座。2等星のα(アルファ)は、ペガスス座の大四辺形の一部をなし、これから北東に向かってV字形を横に寝せたような形に星が連なり、母親カッシオペイア(カシオペヤ座)の虚栄心の犠牲となって、海の怪獣(くじら座)のいけにえに捧(ささ)げられたアンドロメダ姫の鎖でつながれた姿を表している。このアンドロメダ姫の腰のあたり、β(ベータ)から北へμ(ミュー)、ν(ニュー)とたどって、ν星のそばにアンドロメダ座大銀河M31が肉眼でもぼんやり見え、双眼鏡を用いれば夜空の多少明るい街中からでも見える。このほか、つまさきのγ(ガンマ)星は、オレンジ色の2等星と青色の5等星の1対からなる美しい二重星で、小望遠鏡で楽しめる。
[藤井 旭]
『藤井旭著『チロの星空カレンダー10 アンドロメダ姫物語――秋・10月の星』(1993・ポプラ社)』▽『藤井旭著『秋の星座と星ものがたり――秋の星座と神話を楽しもう』(1993・誠文堂新光社)』▽『藤井旭著『星座大全――秋の星座』(2003・作品社)』
略号And。北天の星座。ギリシア神話でエチオピアの美姫アンドロメダにかたどる。西端のα星アルフェラッツ(ペガススの肩の意)は,実視等級2.1等,スペクトル型B8の白色の星で,ペガススの四辺形の一角をつくる。β星シラク(腰布の意)は2.2等,スペクトル型M0の赤色巨星である。γ星アルマク(大山猫の意)は連星系らしく2.3等,スペクトル型K3のそばに5.1等,スペクトル型A0の星がある。ν星の近くには有名なアンドロメダ銀河M31がある。これは銀河系と同じ規模をもつ大型銀河で210万光年の距離にあり,この銀河を構成する巨星,変光星などが詳しく研究され,他の銀河の構造,距離を研究する標準になっている。さらに惑星状星雲NGC7662,散開星団NGC752などがある。概略位置は赤経0h40m,赤緯+38°。午後8時南中は11月下旬である。
執筆者:石田 五郎
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