アーチ橋(読み)アーチきょう(英語表記)arch bridge

精選版 日本国語大辞典 「アーチ橋」の意味・読み・例文・類語

アーチ‐きょう ‥ケウ【アーチ橋】

〘名〙 (アーチはarch) アーチ構造を持つ橋の総称拱橋(きょうきょう)
日本の橋(1936)〈保田与重郎〉「東京石造のアーチ橋の出来たのはたしか明治六年」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アーチ橋」の意味・わかりやすい解説

アーチ橋
あーちきょう
arch bridge

構造形式による橋の分類の一つで、主要部分がアーチ状の橋。アーチはおもに圧縮力に抵抗するが、最近では曲げや剪断(せんだん)にも抵抗できるように設計したものも多い。材料には鋼、コンクリートが用いられる。古くはローマの水道橋などのように石材を用いた。

 アーチはリブrib(橋軸に平行で通常鉛直面内にある独立したアーチリング)の有無によりリブアーチとスパンドレル・ブレースドアーチspandrel braced archに分けられる。リブが充実構造のものをソリッドリブ・アーチsolid rib archといい、トラス形式のものをブレースドリブアーチbraced rib archという。なお、リブにパイプを用いたパイプアーチpipe archや、石材などでせり持ちにしたブーソアアーチvoussoir archもある。アーチはヒンジhinge(蝶番(ちょうつがい))の数により、3ヒンジおよび2ヒンジアーチに分けられる。ヒンジをもたないものを固定アーチという。また、アーチの両支点間をつなぎ材で連結したものをタイドアーチtied archという。なお、つなぎ材として曲げに抵抗するように補剛桁(ほごうげた)を用いたものをローゼLohse橋、補剛桁の剛性を大きくしアーチは曲げに抵抗しえない構造としたものをランガーLanger橋という。これらをまとめて補剛アーチ橋という。アーチ橋の歴史は古く、ローマ時代の石造アーチ橋で現存するものも多い。日本にも長崎眼鏡橋(めがねばし)(1634年架設、1982年の豪雨で一部破損)、岩国の錦帯橋(きんたいきょう)(1673年架設)など数多くのアーチ橋がある。世界最大の鋼アーチ橋はアメリカ、ウェスト・バージニア州のニューリバーゴージ橋(1977年架設。支間518メートル)、日本最大の鋼アーチ橋は愛媛県の大三島橋(おおみしまばし)(1979年架設。支間297メートル)である。

[小林昭一]


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百科事典マイペディア 「アーチ橋」の意味・わかりやすい解説

アーチ橋【アーチきょう】

構造の主体アーチで構成されている橋で,(はり)がアーチ構造をもつもの,橋の下面にアーチをもつもの,上面に鉄骨製アーチをもつものがある。古代ローマ人によって石積みアーチとして発達,その後,鋼鉄鉄筋コンクリート等の利用により発展し,左右に開かないよう両端の支点をつなぎとめたタイドアーチ,ローゼ橋ランガー橋などが造られている。
→関連項目石橋ポン・デュ・ガール

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アーチ橋」の意味・わかりやすい解説

アーチ橋
アーチきょう
arch bridge

主構造としてアーチを用いた橋で,煉瓦や切り石を用いた石造アーチ橋は,紀元前2世紀から造られていた。ローマ人が紀元前後に建造した美しい石造アーチは,広くヨーロッパにみることができる。アーチ橋は,力学的にも,美観のうえからもすぐれた構造様式であるので,近代橋梁としても,鋼,鉄筋コンクリートを用いて多く建造されている。現在のアーチ橋の最大支間は,アメリカのベイヨンヌ橋の 504m (鋼アーチ橋) である。日本では,西海橋 (216m。 1955) ,大三島橋 (297m。 79) ,コンクリートアーチ橋では別府橋 (235m。 89) などが代表的なものである。アーチ橋は,その形式によって多くの形式に細分される。

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改訂新版 世界大百科事典 「アーチ橋」の意味・わかりやすい解説

アーチ橋 (アーチきょう)

(はし)

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世界大百科事典(旧版)内のアーチ橋の言及

【橋】より


【橋の歴史】
 有史以前から人類は小川や谷を渡る手段として,倒木,浸食された岩石,あるいは木にからみついたつるを利用した自然発生的な橋を使っていたに違いない。そしてこれらが,おのおの桁橋,アーチ橋,つり橋の起源と考えられ,知恵が進むにつれて,経験とくふうに基づく原始的な人工の橋も生まれてきたと想像される。
[世界]
 前4~3千年紀ころ文明の栄えたメソポタミアには,人工の木桁橋や石のアーチ橋がつくられたといい,エジプトでも石造アーチ,そしてインド,中国の奥地ではつり橋の存在が伝えられている。…

※「アーチ橋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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