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イバン族 イバンぞくIban

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

イバン族
イバンぞく
Iban

ダヤク諸族の一つで,ボルネオ島北西部マレーシアサラワク州で最大の民族。海ダヤク族ともいう。インドネシアカリマンタン西部にも数万人が居住する。オーストロネシア語族のマレー方言を話す。ロングハウスに住み,内陸の高地で陸稲耕作を行なう。ロングハウスが自律的共同体で,世襲の首長や身分制は存在せず,双系親族を基盤とする社会は平等主義的である。19世紀にサラワク南部から北東部にかけて大規模な領域拡張を行ない,首狩り戦が盛んであったが,1920年代に政府によって平定され首狩りは終焉した。稲魂信仰に基づく農耕儀礼を行ない,シャーマニズム他界観の発達などアニミズムが強い。

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世界大百科事典 第2版の解説

イバンぞく【イバン族 Iban】

ボルネオ島西部に住むプロト・マレー系の民族で,海ダヤク族Sea Dayakともいう。大部分はマレーシア連邦サラワク州南部の丘陵地帯で,陸稲を主要作物とする焼畑耕作を営む。豚,鶏を飼育するほか,猪などの森林獣の狩猟,河川での漁労も活発である。19世紀から20世紀初頭にかけて盛んに移住と戦闘行為を繰り返し,世界有数の勇猛な首狩族として知られるに至ったが,その後サラワク政府による平定と,ゴム,コショウという換金作物の導入の結果,現在では定着的な傾向が強まっている。

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世界大百科事典内のイバン族の言及

【住居】より

… 立ち戻って,寝・食が人間にとっても不可欠の基礎的要求であれば,寝室・台所が必要なことはすぐに了解できるが,加えて接客空間が遍在するという事実には,その意味を問う価値がある。たとえば,イバン族(ボルネオ島)のロングハウスにおける〈ルアイ〉と呼ばれる長大な廊下は,村人の共用空間であり,外来者を迎え入れる場所でもある。つまりそこは外に向かって開かれた場所といえる。…

【他界】より

…これを第2の特徴ということができよう。たとえば,西ボルネオのイバン族のもとでは,天寿をまっとうして死ぬことを〈帰る〉と表現する。彼らによれば,他界こそが人間のもともとの住家であり,この世は一時的な仮りの住いだからである。…

【ダヤク族】より

…オランダ系の民族学においては,ボルネオ島(カリマンタン)に住むプロト・マレー人系の原住民の総称として〈ダヤク〉の名称が一般的に用いられる。したがってこの語に各民族名を冠し,カヤン・ダヤク,クニャー・ダヤク,ヌガジュ・ダヤク,海ダヤク(イバン族),陸ダヤクなどの複合名称がしばしば用いられる。ダヤク諸族間の言語・文化的類縁関係については諸説があるが,ごく大きく分けて,(1)フィリピンの諸民族と近い北部群(とくにムルット族),(2)中央カリマンタン諸族(カヤン族クニャー族を含む),(3)西ボルネオ諸族(イバン族,陸ダヤク)の3群を認めることができる。…

【ロングハウス】より

…東南アジアに多く見られる長大な家屋で,1棟に多数の家族が居住する。インドシナ半島のセダン,マ,ノン,ラデ族,スマトラのカロ・バタク族などに見られ,ボルネオの陸ダヤク族,イバン族,カヤン族,クニャー族では大型のものが多い。たとえばイバン族のロングハウスは,長さ150m,幅12m(露台を加えて17m),木造高床式で,タンジュ(露台),ルアイ(廊下),ビレック(家族の居室と台所),サダウ(大きい屋根裏)の4部分から構成される。…

※「イバン族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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