カリマンタン(読み)かりまんたん(英語表記)Kalimantan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリマンタン」の意味・わかりやすい解説

カリマンタン
かりまんたん
Kalimantan

東南アジア、ボルネオ島の南半部と東部を占めるインドネシア領地域。領域は全島の約70%で、面積53万9460平方キロメートル、人口約1175万0500(2001推計)。行政的には西、中、南、東の4州に区分され、ポンティアナック、パランカラジャ、バンジャルマシンおよびサマリンダがそれぞれの州都である。カリマンタンは中央から北東に向かい、砂岩からなるカプアス山脈、イラン山脈などの脊梁(せきりょう)山脈が走ってマレーシア領との境界をなし、これからカプアス川、バリト川、マハカム川などの大河が諸方面に流れる。とくに南方では海岸と山地の間に広大な湿原を展開する。気候は、赤道が島の中央を通るので典型的な高温多湿気候で、このため密林、湿原に覆われる所が多く、居住地も制限される。動物もオランウータンをはじめ特色あるものが多い。民族は複雑で、内陸部はプロトマレー系(ダヤク人が代表的)、海岸は第二次マレー系、ジャワ人、ブギス人、中国人などが多い。第二次マレー人は今日大部分がイスラム教徒となり、歴史的には各地にスルタン王国をつくってきた。カリマンタンの75%はなお森林で、木材、籐(とう)、樟脳(しょうのう)などの林産物に富むが、海岸近くが開かれているにすぎない。奥地では焼畑農業が行われ、西、南海岸の一部では水田耕作も発展している。資源は豊かで、金、ダイヤモンドは古くから知られており、近代には石油、石炭、鉄鉱が開発された。バリクパパン、タラカンなど東部油田はインドネシア経済に大きく貢献している。人口分布はカプアス、バリトの2大河の下流に集中する。

[別技篤彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カリマンタン」の意味・わかりやすい解説

カリマンタン
Kalimantan

ボルネオ島インドネシアではカリマンタン島と呼ぶ)のうち,インドネシア領の呼称。島の中央部と南部を占め,イラン山脈,カプアス山脈でマレーシア領と隔てられる。赤道が中央を通り,熱帯雨林マングローブに覆われる。内陸には標高 2000mをこえる山地があるが,カプアス川バリト川,マハカム川などの中流や下流には広大な湿地がある。ポンティアナックバンジャルマシンサマリンダなどの主要な町は,これら河川の河口付近にあり,水運による内陸への出入口として発達。内陸にはダヤク諸族が住み,海岸部の町にはマレー人,中国人が多い。沿岸地方は古くから中国,インドやジャワ,スマトラ諸王朝の影響下にあった。15世紀以降,マレー人,ジャワ族ブギス族などの民族がイスラム王朝を建設。16世紀に入ってオランダとイギリスが侵入,19世紀末から 20世紀にかけて全域がオランダの支配下に入った。1945年ほかのオランダ領インドネシアとともに独立を宣言し,1949年独立を達成。内陸では焼畑農耕により陸稲,トウモロコシ,キャッサバなどを栽培し,海岸ではサゴヤシ,ココヤシも栽培される。東海岸とその沖に油田と天然ガス田がある。石炭,金,銀,ダイヤモンドも採掘される。木材の搬出が盛ん。行政上は 5州に分かれる。

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