ワルツのタイプの一つで,主として19世紀にウィーンを中心にヨーロッパで好まれたダンス用の音楽またはその音楽による踊りのこと。3/4拍子または3/8拍子で書かれる。一般のワルツと異なるのは,速度が倍近くも速く,指揮者は1小節を一振りで数えるという点と,第2拍がつまってわずかに第1拍にずれ込むという点である。18世紀末から,いわゆるドイツ舞曲を母体にしてヨーロッパ各地の宮廷で踊られるようになったワルツは,ウィーンの社交界で独特の発展をとげた。とりわけ1814-15年のウィーン会議における舞踏会(〈会議は踊る〉と世間で評された)で有名になり,1820年代には国際的に最も愛好される舞曲となった。ウィーンでは引き続いてカフェやレストラン,大衆的なダンス・ホールなどでも踊られるようになり,J.シュトラウス一族やJ.ランナーらに主導されて,華やかに発展した。
執筆者:大崎 滋生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ドイツ舞曲やレントラーから派生した4分の3拍子、三部形式の舞曲。1786年ウィーンのオペラに初めて登場し、上流階級のひんしゅくを買いながらも流行する。「会議は踊る」のウィーン会議(1814~15)以後、社会の各層に浸透した。1811年のカンペのドイツ語辞典にはすでに固有名詞として採用されている。1820年代にJ・ランナーとヨハン・シュトラウス(父)によって、序奏とコーダを伴った5曲のワルツからなる定型が確立された。とくに「ワルツ王」とよばれた息子のヨハン・シュトラウス、弟のヨーゼフが活躍した19世紀後半はまさにワルツの全盛期で、『美しく青きドナウ』『ウィーンの森の物語』『皇帝円舞曲』などのワルツ王の名作は、まさにウィンナ・ワルツの代名詞となった。独特なリズムのウィーン風の演奏伝統は、他の追随を許さぬものである。
[樋口隆一]
…フランス革命後,宮廷での儀式的なものより庶民的な踊りが好まれるようになり,古くからオーストリアの山岳地方で行われていた舞踊レントラーLändlerがしだいにワルツに発展,ウィーンを中心にヨーロッパ全域へと爆発的な流行をもたらした。ワルツ王J.シュトラウスは,〈ウィンナ・ワルツ〉の名曲を数多く作ったが,男女が一対に組んで旋回をともないながら滑るように踊るワルツのステップに,今日の社交ダンスの起源をみることができる。熱狂的にヨーロッパに広がったこのワルツはアメリカに渡り,ゆるやかなボストン・ワルツが生まれた。…
※「ウィンナワルツ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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