ウィーンの変位則(読み)うぃーんのへんいそく(英語表記)Wien's displacement law

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ウィーンの変位則
うぃーんのへんいそく
Wien's displacement law

絶対温度Tの黒体から放射される、エネルギー密度が最大になる波長(λmax)が、Tに反比例するという法則。1893年にウィーンが熱力学をもとに導いた。絶対温度をT(K)、放射エネルギー密度が最大になる波長をλmax(センチメートル)とすると

と表される。0.2898は比例定数である。

 このことから、放射されるエネルギー密度が最大になる波長を測定することにより、その物体の温度が判明する。直接に温度を測定することができない場合、たとえば、溶鉱炉などの高温の物体の温度を正確に測定する際に重要な方法である。温度が高くなるほど放射される波長は短くなり、太陽表面温度(約5780K)では500ナノメートルになる。

[山本将史]

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デジタル大辞泉の解説

ウィーン‐の‐へんいそく〔‐ヘンヰソク〕【ウィーンの変位則】

1893年にドイツの物理学者ウィーンが発見した、黒体からの熱放射黒体放射)に関する法則。黒体の絶対温度Tケルビン、放射エネルギー密度が最大になる波長をλ(ラムダ)メートルとすると、λT=0.002898という関係式で表され、λはTに反比例することを示した。ウィーンの公式

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百科事典マイペディアの解説

ウィーンの変位則【ウィーンのへんいそく】

いろいろな温度の黒体が放出する放射エネルギーのスペクトル分布をとってみると,その極大値に相当する波長λ(/m)は黒体の絶対温度Tに反比例し,λ(/m)T=一定(0.287cm・K)になるという法則。W.ウィーンの発見。高温測定に利用。長波長側では成り立たなかったが,のちにM.プランクが改良する。
→関連項目空洞放射黒体放射シュテファン=ボルツマンの法則

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世界大百科事典 第2版の解説

ウィーンのへんいそく【ウィーンの変位則 Wien’s displacement law】

物体の温度をあげていくと(暗いところで見れば600℃くらいから)鈍い赤色に光り始め,やがて青白色を呈し,ついには白熱化する。これは,物体の放射する光の波長が温度の上昇につれて短いほうに変位していくためである。とくに黒体からの放射ないしは空洞放射では簡明な法則性があり,絶対温度Tの熱平衡状態では,(放射の単位体積につき)各波長λに対して単位波長幅当りの放射エネルギー(スペクトル密度)uT(λ)が最大となる波長λmTに反比例し,λmT=一定となる。

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