ウラシル(読み)うらしる(英語表記)uracil

翻訳|uracil

日本大百科全書(ニッポニカ)「ウラシル」の解説

ウラシル
うらしる
uracil

広く生物界に存在するピリミジン塩基の誘導体で、リボ核酸RNA)中に含まれている。無色の針状晶で、分子量は112。尿素とリンゴ酸とを発煙硫酸によって縮合させることにより合成できる。水には難で、有機溶媒にはほとんど溶けないが、温水には溶けやすく、アルカリにはエノール形(エチレン結合の一端にヒドロキシ基が結合した結合様式)となって溶ける。酸に対しては安定で、シトシンとは異なる。ウラシルは、遺伝現象やタンパク質の生合成などに関係する核酸の構成成分として重要な化学物質であるが、他の核酸塩基アデニングアニン、シトシンのようにDNAデオキシリボ核酸)にもRNAにも含まれるのではなく、RNAだけに含まれる。特殊なウイルスなどの場合を除いて、RNAは、RNA合成酵素がDNAの塩基配列を写しとることによって合成されるが、その際DNA中でチミンが配置されていた場所については、ウラシルが置き換わってRNA中に組み込まれる。またウラシルは、糖類の生合成に前駆体物質として重要な役割を果たすUDP(ウリジン二リン酸グルコースなどの糖ヌクレオチド類の構成成分としてもきわめて重要である。

[笠井献一]


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化学辞典 第2版「ウラシル」の解説

ウラシル
ウラシル
uracil

2,4(1H,3H)-pyrimidiendione.C4H4N2O2(112.09).ピリミジン塩基の一つ.シトシンとともにリボ核酸塩基として生体内に広く存在する.尿素とプロピオル酸(アセチレンカルボン酸)をリン酸の存在下に縮合させると得られる.針状晶(水).融点335~338 ℃(分解).λmax 259 nm(ε 8.20×103,pH 2).熱水に易溶,冷水,有機溶媒に難溶.[CAS 66-22-8]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「ウラシル」の解説

ウラシル
uracil

リボ核酸を構成するピリミジン塩基の一つ。デオキシリボ核酸には含まれない。構造は2,4-ジオキシピリミジン (分子式 C4H4N2O2 ) 。多くはヌクレオチドとして細胞内に存在し,多糖類の合成などの中間代謝で重要である。

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栄養・生化学辞典「ウラシル」の解説

ウラシル

C4H4N2O2 (mw122.09).

 ピリジン塩基の一つで,RNAの構成成分であるほか,UDPグルコースの構成成分として,グリコーゲン合成においてのグルコースの活性化に関与する.

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精選版 日本国語大辞典「ウラシル」の解説

ウラシル

〘名〙 (uracil) 核酸の構成成分の一つ。RNA(リボ核酸)に含まれる、ピリミジン塩基の一つ。DNAから転写されるときに、チミンの配列場所に組み込まれ、アデニンと対応する。

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世界大百科事典内のウラシルの言及

【遺伝暗号】より

…通常この三つ組(トリプレットtriplet)は,塩基の頭文字をとったアルファベットの4文字(A,U,G,C)を三つ並べて表記する。A,U,G,Cはそれぞれ,アデニン,ウラシル,グアニン,シトシンを表し,1個のコドンは1個のアミノ酸または読み終りの信号(句読点のようなもの)に対応する。遺伝暗号表の読みかたは,三つ組塩基の左側から,1番目,2番目,3番目とし,UUUというコドンなら,左上端のフェニルアラニン(Phe)というアミノ酸に対応することがわかる。…

【核酸】より

…DNAでは糖の部分が2‐デオキシ‐D‐リボース(2‐deoxy‐D‐ribose)であるのに対して,RNAのそれはD‐リボース(D‐ribose)である。さらにDNAの塩基はアデニンadenine(Aと略す),グアニンguanine(G),シトシンcytosine(C),チミンthymine(T)の4種からなるが,RNAの場合はチミンの代りにウラシルuracil(U)が用いられる(図2)。DNAもRNAもこれら4塩基がいろいろな順序で多数配列した巨大分子であり,場合によってはこれら塩基に特殊な修飾の加わった(例えばメチル化された)微量塩基が少量存在することもある。…

【ピリミジン塩基】より

…生体中では,プリン塩基とともにヌクレオチドとして核酸の構成単位となる。DNA中にはシトシンとチミンが,RNA中にはシトシンとウラシルが含まれる。DNA中で紫外線照射により二量体となり,遺伝子傷害の原因となる。…

※「ウラシル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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