翻訳|aerobics
有酸素運動と訳す。酸素を摂取しながら行う運動の総称。具体的には歩く,走る,自転車をこぐ,泳ぐ,縄跳びをするなど,息を止めることなく続けられる運動。短距離の全力疾走やウェイトリフティングといった力を一気にこめる運動は息を止めて行うので,アネロビクスanerobicsという。いずれも運動生理学の専門用語。
エアロビクスを有名にしたのはアメリカのクーパーKenneth H.Cooperで,1968年に同名の本を出版,これが世界二十数ヵ国で翻訳され1700万部を超えるベストセラーとなった。その著作の中で,どんな運動を,どのくらいの強さで,何分行ったら健康になるかを理論化し,肺疾患,心臓疾患,高血圧症,糖尿病,肥満,腰痛,胃・十二指腸潰瘍,静脈瘤といった現代病とエアロビクスの関係を明確にした。70年代後半から,エアロビクスはジョギングを中心に爆発的に流行してきた。この運動は週に3回,多くて5回,1回につき15~30分,少しきついと感じられる程度で行うと効果がある。心身のストレスを解消するための手軽な方策といえよう。
執筆者:青木 高
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
酸素を体内に供給しながら、できるだけ長く続けることを目的とした全身運動のこと。本来は、陸上競技の短距離走時のように、筋肉が酸素を使わない無酸素運動(アネロビクス)に対し、有酸素運動を意味する医学用語である。この運動の提唱者はアメリカの医学者クーパーKenneth H. Cooperである。ジョギング、水泳、サイクリング、スキーなど、全身を使って、しかも時間をかけて行う運動は、心臓や肺の機能を高め、血管の退化を防ぎ、酸素を体のすみずみまで送ることによって組織や細胞の働きがより活発になることが広く認められている。エアロビクス理論の特徴は、各種目の運動量を点数で表し、年齢、性別、体力水準に応じた、健康を高めるための運動プログラムをわかりやすく示していることにある。運動の点数化にあたっては、毎分体重1キログラム当り7ミリリットルの酸素消費量を1点とし、健康の維持・増進のためには、成人男子で1週30点、女子で24点の運動量が必要とされている。
たとえば、次の運動はいずれも5点の価値がある。ランニング1.6キロメートル8分以内、水泳550メートル15分以内、サイクリング8キロメートル20分以内、縄とび10分。また、エアロビクス・ダンスを活発に踊れば、25分で5点の運動量がある。エアロビクス・ダンスは、動きがきわめて変化に富んでおり、運動それ自体にもリズムにあわせて踊る楽しさがあり、さらに自分で運動量をコントロールできることから、女性だけでなく、だれにでも勧められる運動である。
[池田 勝]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…従来,陸上競技をはじめスポーツの準備運動の中で,軽く体を揺さぶったりゆっくり走ったりするジョグが行われていたが,1960年代になって欧米各国で一般化し,その走法用語として広く使われるようになった。とくにアメリカのK.H.クーパーが68年に《エアロビクス》を発刊し,ジョギングが運動生理学の立場から健康,体力の維持向上に望ましいとの判断を示したことによってますます普及した(エアロビクス)。同じ効果をもたらす水泳やサイクリングと違って,特別な技術を要求されない基本的動作(走る)のためだれもが容易に行えるので参加人口が増え,日本では愛好者506万人(週1回以上実施,1996)と推定されている。…
※「エアロビクス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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