エネルギー基本計画(読み)えねるぎーきほんけいかく(英語表記)National energy plan

知恵蔵の解説

エネルギー基本計画

2002年に成立したエネルギー政策基本法の中で新たに定められた計画。1965年以来、日本の将来のエネルギー供給と需要の量及び構造を見通して数年おきに策定されてきた長期エネルギー需給見通しの上位かつ基本的な方針に相当する。エネルギー政策基本法では、エネルギーの安定供給の確保(エネルギーセキュリティー)と環境への適合を市場原理に対して優位に置くことを定めている。03年10月に閣議決定された計画では、エネルギーベストミックスの中で原子力を基幹電源として位置づけ、天然ガスにも力点を置いている。事故のリスクや核燃料サイクルへの責任もあいまいなまま、原子力に国が関与する姿勢を前面に出した答申に対する疑問の声もある。

(飯田哲也 環境エネルギー政策研究所所長 / 2007年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

エネルギー基本計画

国のエネルギー政策の中長期的な方向を示す計画。ほぼ3年ごとに閣議決定している。11年3月の東京電力福島第一原発事故を受け、民主党政権は「30年代の原発ゼロ」を掲げ基本計画見直しを進めたが、安倍政権発足後、「原発の活用」を前提に計画作りが進んだ。安倍内閣は与党内調整などを経て閣議決定する方針。

(2014-01-31 朝日新聞 朝刊 1総合)

エネルギー基本計画

エネルギー政策基本法で政府が策定を義務付けられた計画。原子力や再生可能エネルギー石炭などの中長期的な位置づけを盛り込み、少なくとも3年ごとに見直すことになっている。計画は閣議決定され、自治体電力会社などは計画の実現に向けて協力する責務を負う。いまの計画は第2次安倍政権下の2014年4月にまとめた。

(2017-07-13 朝日新聞 朝刊 5総合)

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デジタル大辞泉の解説

エネルギー‐きほんけいかく〔‐キホンケイクワク〕【エネルギー基本計画】

エネルギーの需給・利用に関する国の政策の基本的な方向性を示したもの。エネルギー政策基本法に基づいて政府が策定する。
[補説]平成15年(2003)に策定され、平成19年(2007)に一次改定、平成22年(2010)に二次改定が行われた。政府は少なくとも3年ごとに検討を加え、必要があると認めるときには変更する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

エネルギー基本計画
えねるぎーきほんけいかく

エネルギー需給に関する国の中長期的政策の基本指針。2002年(平成14)制定のエネルギー政策基本法(平成14年法律第71号)に基づき、「安全性」「安定供給」「経済効率性の向上」「環境への適合」などの基本方針にのっとって、政府に策定が義務づけられている。2003年に初めて策定され、世界のエネルギー情勢、環境保護機運、国内世論などを視野に入れながら、3~4年ごとに改定されている。計画は閣議決定され、電力会社や地方自治体は計画の実現に向けて協力する責務を負う。2018年7月閣議決定のエネルギー基本計画(第五次計画)は、2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえ、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーを2050年度に向けた「主力電源」と初めて明記した。同時に、原子力発電(原発)を石炭火力発電などと並び、一定量の電力を安定供給できる「ベースロード(基幹)電源」と位置づけ、2030年度の電源構成比率を化石燃料発電56%、再生エネルギー22~24%、原発20~22%とした。2030年度のエネルギー自給率(2016年度で8%程度)を24%に引き上げることも盛り込んだが、2050年度の電源構成比率は示さなかった。
 原発について、2010年の第三次エネルギー基本計画は、地球温暖化に対応するため2030年までに原発を新増設し、電源構成比率を53%に引き上げると明記した。しかし福島第一原発事故後、当時の民主党政権は「脱原発」へ方針を転換。2030年代の原発ゼロを打ち出したエネルギー・環境戦略を2012年にたてたが、閣議決定できなかった。自民党と公明党の連立政権に交代後、安倍晋三(あべしんぞう)政権は2014年の第四次計画でふたたびベースロード電源と位置づけ、原発推進に転じている。使用済み核燃料の再利用を目ざす核燃料サイクル政策についても堅持し、原発輸出政策も進める。ただ高速増殖炉「もんじゅ」はトラブルが相次いでおり、第四次計画で核不拡散関連技術などの向上を目ざす研究拠点にすると役割を修正した。第五次計画では核兵器に転用可能なプルトニウムの保有量削減に取り組むことも明記した。地球温暖化への対応では、水素や蓄電池などの技術開発、非効率な石炭火力からの脱却、燃料炭の輸入量削減、次世代原子炉の開発などで脱炭素化を推進する方針を打ち出した。[矢野 武]

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