メタンが主成分の天然ガスを超低温に冷却し液体にしたもので輸送や貯蔵がしやすいのが特徴。日本では電力会社やガス会社が大量に輸入している。東京電力福島第1原発事故後の原発停止で、火力発電の燃料としての利用が急増した。日本の主な輸入国はオーストラリア、マレーシア、カタールなど。米国でシェール層にある天然ガスが技術革新で商業生産できるようになり、調達先は多様化した。天然ガスの価格下落でガス田の新規開発資金の不足が世界的に問題になっている。
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メタンを主成分とする気体の天然ガスを、運搬や貯蔵がしやすいように冷却し、液化したもの。都市ガスや発電所の燃料に使われる。石炭に比べ、燃焼時の二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない。日本は長らく世界最大の輸入国だったが、2021年に中国が最大となった。電力、ガス、商社などの企業がLNGの売り主と10~20年単位で購入契約を結ぶか、市場から短期で購入して調達する。
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天然ガスを精製後、冷却液化したもので、LNGとよばれる。成分はほとんどがメタンなのでLMG(liquefied methane gas)とよぶ場合もある。天然ガスは石油と並んで重要な燃料資源、化学原料である。原油を生産する際に同時に出てくる油田ガスもメタンが主成分であり、従来は用途がないので油田で燃やして捨てられていたが、現在は貴重な燃料資源として現地での利用や回収が行われている。メタンガスは燃焼しても無公害であり、かつ取り扱いやすい燃料である。天然ガスの産地から消費地まで陸続きの場合はガスのままパイプラインで送ることができるが、消費地が海を隔てて遠い場合は利用できなかった。しかし、これを液化すれば容積が約600分の1になり、タンカーにより海上輸送が可能となる。天然ガスは産地で零下162℃に冷却液化後、LNGタンカーで輸送し、消費地で気化して使用する。液体メタンの比重は0.424で石油のおおよそ倍の容積となること、液化に際しても多量のエネルギーを必要とすることのほか、輸送用タンカーやタンクは、低温度に耐える金属材料でつくられた特殊構造のものを使用することなどに留意する必要がある。液化天然ガスを気化するときの冷熱エネルギーは電力として回収するほか、食品の冷凍などにも利用される。日本には、オーストラリア、アラスカ、ブルネイ(ボルネオ島北岸)をはじめ東南アジア諸国から、また中東諸国の油田ガスも液化天然ガスとして輸入されている。都市ガスは石炭ガスからしだいに天然ガスに転換されてきており、さらに電力、工業用燃料として大量に使用されている。
[真田雄三]
略称LNG。メタンを主成分とする天然ガスを加圧,冷却して液化したもの。天然ガスの産地の多くは都市や工業地帯などの天然ガスの大消費地からは遠い。また石油とともに産出される油溶性ガスも消費地から遠いために,むだに燃されていた。ところで,メタンは-161℃に冷却すれば液体となり,その体積は常温・常圧の気体に比べて約1/600に減少する。これを専用の冷凍タンカー(LNGタンカー)で海上輸送すれば,遠い消費地までも経済的に配給することができる。LNGの本格的なタンカー輸送は,1964年,アルジェリアの天然ガスのイギリスへの輸出によって始まった。日本でも70年前後からLNGの輸入が盛んになり,アラスカ(1969年に開始,以下同様),ブルネイ(1972),アブ・ダビー,インドネシア(ともに1977)などから80年には合計約1700万t/年のLNGが輸入されている。これは世界全体のLNGの国際貿易量の約60%に相当する。日本はエネルギーの供給源の多様化を目指しており,その政策の一環として,将来もLNGの輸入量が大きく増える見込みである(95年の輸入量は約4300万t/年で,輸入先は上記のほかにマレーシア,オーストラリアが加わり,アジア・オセアニア地域で全輸入量の88%を占めている)。
産地で液化された天然ガスはLNGタンカーで運ばれるが,LNGの比重は原油の比重の約1/2であるため,同一重量のLNGを運ぶためには原油タンカーの2倍の大きさのタンカーが必要である。そのうえLNGタンカーは保冷のために特殊の材料(ニッケル鋼やアルミニウム合金)や構造が要求されるので,積載トンあたりの建造費は原油タンカーの数倍も高い。LNGの受入れ基地ではLNG専用のタンクにLNGを貯蔵し,これを再びガス化して発電用や都市ガス用の燃料として使用する。ガス化には海水や工場の温排水が利用されるが,LNGのもつ冷熱を積極的に利用する事業として,空気の液化分離,食品などの冷凍・冷蔵,海水の淡水化などが実施,あるいは計画されている。
→冷熱利用
執筆者:冨永 博夫
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略称LNGまたはLMG(liquefied methane gas).メタンを主成分とする天然ガスを加圧冷却して液化したもの.近年,天然ガスの海上輸送法として,液化して冷凍タンカーで運ぶ方法が発達した.わが国でも,都市ガス用,発電用,化学工業原料用として,また最近ではCO2排出割合の少ないクリーンな燃料として,海外から液化天然ガスの大規模な輸入が行われている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
「液化石油ガス」のページをご覧ください。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…他方,都市ガスの原料は石油危機後,急速に多様化している。すなわち昭和40年代の後半以降,従来の石炭系ガスから石油系ガスへのシフトが進んだが,石油危機後は石油系ガスも急減し,これに代わってLNG(液化天然ガス)とLPG(液化石油ガス)が急増している。原料構成は,石油危機当時の1973年度には石炭系23%,石油系42%,LNG24%,LPG10%であったが,これが80年度には石炭系10%,石油系17%,LNG54%,LPG19%へと大きく変化した。…
※「液化天然ガス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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