エネルギー基本計画(読み)エネルギーキホンケイカク

デジタル大辞泉 「エネルギー基本計画」の意味・読み・例文・類語

エネルギー‐きほんけいかく〔‐キホンケイクワク〕【エネルギー基本計画】

エネルギー需給利用に関する国の政策の基本的な方向性を示したもの。エネルギー政策基本法に基づいて政府が策定する。
[補説]平成15年(2003)に策定され、平成19年(2007)に一次改定、平成22年(2010)に二次改定が行われた。政府は少なくとも3年ごとに検討を加え、必要があると認めるときには変更する。

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共同通信ニュース用語解説 「エネルギー基本計画」の解説

エネルギー基本計画

日本の中長期的なエネルギー政策の指針で、電源構成目標や原発の運営、資源確保の方針を示す。電力会社など民間企業の投資計画に影響を及ぼす。2003年に初めて作成され、おおむね3年ごとに見直す。有識者会議では各電源の発電コストの試算も実施している。現行計画の30年度の電源構成目標は火力41%、再生可能エネルギー36~38%、原発は20~22%。次期の第7次計画は来年の閣議決定を目指す。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エネルギー基本計画」の意味・わかりやすい解説

エネルギー基本計画
えねるぎーきほんけいかく

日本の長期的なエネルギー政策の取組みにおいて、もっとも基本的で重要な政策方針を示す政策文書のこと。2002年(平成14)にエネルギー政策基本法が制定され、「安定供給の確保(Energy Security)」「環境への適合(Environment)」「市場原理の活用(経済効率性Economic Efficiency)」の三つの基本方針が示された。そして、エネルギー安全保障環境保全、経済効率性の三つを同時にバランスよく追求し、その達成を目ざすことが、エネルギー政策の要諦(ようてい)であると位置づけられた。この三つの目標の英語の頭文字が「E」であることから、「3E目標」ともいわれる。2011年の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえ、安全性(Safety)がエネルギー政策の前提条件と位置づけられてからは、「Sプラス3E目標」ともいわれるようになっている。

 2003年に最初のエネルギー基本計画が策定されて以来、おおむね3~4年ごとに日本を取り巻く内外情勢の変化を踏まえてエネルギー基本計画は改定されてきた。2018年7月には第5次エネルギー基本計画が閣議決定され、2030年のエネルギーミックス目標の達成が最重要課題として明記された。

 2020年(令和2)10月に当時の総理大臣菅義偉(すがよしひで)が、日本は2050年にカーボンニュートラルの実現を目ざす方針を発表し、2021年4月には、2030年の温室効果ガス排出削減目標を従来の26%(2013年度比)から46%削減に引き上げる方針を発表した。そのため、これらを前提として第6次エネルギー基本計画の改定が行われることになり、2030年の3E目標について、温室効果ガス排出削減46%、エネルギー自給率30%のほか、電力コストの上昇の抑制を図るため、省エネルギーを抜本的に強化しつつ、同年の電源構成を再生可能エネルギー36~38%、原子力20~22%、LNG(液化天然ガス)20%、石炭19%、水素・アンモニア1%とする目標を掲げた。また、2050年にカーボンニュートラルを実現すべく、電力化を最大限推進し、電源をゼロ・エミッション化するため、再生可能エネルギーを主力電源化し、水素や炭素回収貯留(CCS)を活用して、さらには直接大気回収(DAC)などのネガティブ・エミッション技術も活用する方針を示している。この第6次エネルギー基本計画は、菅政権を引き継いだ岸田文雄政権のもとで、2021年10月に閣議決定された。

[小山 堅 2022年1月21日]

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知恵蔵 「エネルギー基本計画」の解説

エネルギー基本計画

2002年に成立したエネルギー政策基本法の中で新たに定められた計画。1965年以来、日本の将来のエネルギー供給と需要の量及び構造を見通して数年おきに策定されてきた長期エネルギー需給見通しの上位かつ基本的な方針に相当する。エネルギー政策基本法では、エネルギーの安定供給の確保(エネルギーセキュリティー)と環境への適合を市場原理に対して優位に置くことを定めている。03年10月に閣議決定された計画では、エネルギーベストミックスの中で原子力を基幹電源として位置づけ、天然ガスにも力点を置いている。事故のリスクや核燃料サイクルへの責任もあいまいなまま、原子力に国が関与する姿勢を前面に出した答申に対する疑問の声もある。

(飯田哲也 環境エネルギー政策研究所所長 / 2007年)

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