レアアース

共同通信ニュース用語解説 「レアアース」の解説

レアアース(希土類)

レアメタル(希少金属)の一部で、17種類ある元素総称電気自動車(EV)のモーターやハイテク製品など幅広く利用されている。生産国が中国オーストラリアなど一部に限られ、需給が不安定になりやすく、中国が圧力に利用するケースがある。2025年4月、中国はトランプ米政権の相互関税に対する報復の一環として7種類のレアアースの輸出を制限。10年に沖縄県・尖閣諸島周辺で起きた中国漁船衝突事件後、中国からの対日輸出が滞った。

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レアアース

ハイテク機器や環境技術を支える17種類の元素の総称で、日本語では希土類と呼ばれる。電気自動車をはじめ、スマートフォンレーザーなどに幅広く利用される。米地質調査所によると、世界の生産量の7割を中国が占め、他に生産できる国は米国ミャンマーなど少数。消費国は安定した供給元の確保課題となっている。

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百科事典マイペディア 「レアアース」の意味・わかりやすい解説

レアアース

金属資源の一つ。サマリウムネオジムなどの希土類元素の酸化物を多く含む。希土類元素は,スカンジウムイットリウムのほか,原子番号57のランタンから71のルテチウムまでの一連の元素を含んでいる。化学的性質がよく似ており,他の原子に比べて原子半径が大きく,岩石を構成する鉱物中に入りにくい。そのためマグマが結晶化する過程で,残液に濃集しやすく,花コウ(崗)岩に多く含まれる。レアアースの産出は中国(特に内モンゴル自治区)に偏っているが,これは花崗岩(かこうがん)の風化でできた鉱床である。レアアースを含め,チタンバナジウムニオブなどは,レアメタルとも呼ばれる。レアアースはネオジムがハイブリッド車のモーターに使う強力な磁石の原料になるなど,ハイブリッド車や液晶基板の生産など現代の基幹産業に不可欠な資源である。世界各地に埋蔵されるが,価格競争などの結果,中国が世界生産の9割を占める。2010年,中国は国内経済の発展による需要増や自国資源の保護の観点から,レアアースの輸出許可枠を前年比4割減らすことに決め,レアアース輸出規制を実施した。2010年9月に尖閣諸島問題が起きると,レアアースの対日輸出が停止する事態となった。また,欧米からレアアースの輸出停止に対する批判があがると,中国は停止の対象を欧米にまで拡大した。中国政府は禁輸指示の事実を否定し,その後,段階的に輸出停止は解除された。しかし,当初の輸出枠削減の方針に変化はなく,一連の出来事によりレアアースの中国一極への依存リスクが明確となり,世界的に供給先の多様化を模索する動きが広まった。日本は,リサイクル技術の開発や,カザフスタン,インド,ベトナムなどの調達先の確保を進め,対中依存度を下げたため,2012年には中国のレアアース価格は急落した。さらに,2012年7月日本の排他的経済水域の南鳥島近海の海底でレアアースを大量に含む泥状の鉱床があることが,東京大学・加藤泰浩教授らによって発見され,三井海洋開発と共同で深海の泥床から泥を回収する技術開発を推進することが発表された。資源量は,国内年間消費量約3万tの230倍に相当すると推定されている。深海からの泥の回収には技術的・コスト的困難を伴うが,天然資源に乏しい日本にとって朗報となっている。

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