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エマージング・ウイルス エマージングウイルス

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

エマージング・ウイルス
えまーじんぐういるす
emerging virus

従来あまりみられなかったウイルス感染症が突然出現(エマージング)すること。近年、エボラ出血熱マールブルグ熱、ラッサ熱などの熱帯病やエイズ、腎症候性出血熱などが次々に報告されるようになって、この呼び名が定着した。場合によっては牛海綿状脳症(BSE)なども含まれる。
 代表例であるエボラ出血熱の原因ウイルスは、1977年ザイール(現コンゴ民主共和国)のエボラ川近くの患者から見つかった。高熱と頭痛から始まり、吐血や下血、口内など全身から出血し、死亡率はきわめて高い。エイズ同様に血液を介して感染し、95年にはザイールで大流行した。森林の動物とともに平和共存していたウイルスが、開発がすすむとともに人間に接触、感染力をもったと推定され、宿主動物探しが国際機関などによって行われている。マールブルグ熱はドイツの研究者が輸入したアフリカミドリザルから感染、エイズもアフリカのサルのウイルス由来との説が強い。BSEは正確にはウイルス病ではなく、感染性タンパク質のプリオンが原因と考えられているが、これも感染したヒツジの内臓などをウシの飼料にしたため、ウシの肉などからさらに人間にも感染したと疑われている。ウイルスは本来、感染する動物や発病する動物が限られているのが特徴だが、これらは行きすぎた森林開発などによる生態系の急激な変化に対応、人間社会に出現してきたもので、国際的な監視体制の強化、治療法の発見のほか、生態系や自然保護などにも配慮する必要性が指摘されている。[田辺 功]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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