エラトステネス(英語表記)Eratosthenēs

デジタル大辞泉 「エラトステネス」の意味・読み・例文・類語

エラトステネス(Eratosthenēs)

[前272ころ~前192ころ]ギリシャの学者。アレクサンドリア文庫管理者。文学・数学天文学地理学・哲学にすぐれ、「五種競技選手」ともよばれた。主著「地理学」。

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精選版 日本国語大辞典 「エラトステネス」の意味・読み・例文・類語

エラトステネス

  1. ( Eratosthenēs ) 古代ギリシア数学者天文学者地理学者素数の選別法「エラトステネスの篩(ふるい)」を発見。また、はじめて赤道の周囲を測量し、約四万五〇〇〇キロメートルと算出した。主著「地理学」三巻。(前二七五頃‐前一九四頃

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改訂新版 世界大百科事典 「エラトステネス」の意味・わかりやすい解説

エラトステネス
Eratosthenēs
生没年:前276ころ-前196ころ

古代ギリシアの地理学者,数学者。キュレネに生まれ,アテナイで高等教育を受けた。前235年ごろプトレマイオス3世に招かれ,アレクサンドリアムセイオンMouseionの館長に就任したことで有名である。博学で知られ,ベータ(アルファの次の意)というあだ名をもっていた。しかし何より数学的地理学の創始者として知られる。天文観測に基づき,地球全体の大きさを推定したり,都市間の距離の確定を試みている。また地球表面を熱帯,温帯,寒帯のように地域分けしたとも伝えられる。数学においては,素数を見いだすための〈エラトステネスの篩〉によって知られる。この方法は自然数を小さい順に並べ,小さいほうの素数の倍数を次々に消去して素数を残していくという原始的なものである。さらに古代ギリシア数学の三大問題の一つ,立方体倍積問題にも取り組み,器械的な作図解を与えた。これは,長方形の枠に沿って,枠の幅に等しい高さの三つの平行四辺形が滑るようになっている装置によって,二つの比例関係を求めるものである。パッポスの《数学集成》の中には,解析論に関する重要著作として,エラトステネスの《中項について》という著作名を挙げている。また,アルキメデスが数学の定理発見法を開陳した《方法》を贈ったのはエラトステネスに対してであった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エラトステネス」の意味・わかりやすい解説

エラトステネス
えらとすてねす
Eratosthenes
(前275ころ―前194ころ)

ヘレニズム時代の最初の体系的地理学者。アフリカキレネに生まれる。もっとも多能多芸な人物で、ベータBeta(第二の人、アルファに次ぐ人の意)と称された。プトレマイオス3世に招聘(しょうへい)されて、当時の世界文化の中心地アレクサンドリアの図書館長を務めた。数学では素数発見法、ピタゴラス派の三つの数学的比例中項の拡張に貢献し、測地術では、夏至の日の2地点の太陽の高度差と両地点間の距離から、地球の円周を25万2000スタディオンと理論的に正しい方法によって算出した。地理学では、アナクシマンドロス、ヘカタイオスの伝統上で地図を作成し、大地を七つの幅の帯に分割した。そのほか、年代学、文献学、天文学、詩の分野で活躍。

[豊田和二]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エラトステネス」の意味・わかりやすい解説

エラトステネス
Eratosthenēs

[生]前276頃.リビア,キュレネ
[没]前194頃.アレクサンドリア
ギリシアの天文学者,地理学者,詩人。前 255年頃アレクサンドリアの図書館長をしていたといわれる。天空上の太陽の見かけの運動面に対する地軸の傾きを計算する。南エジプトのシエネ (現アスワン) とアレクサンドリアにおける夏至の日の太陽高度差と両地点間の距離から地球の周囲の長さをかなり正確に算出。ブリテン島からセイロン (現スリランカ) まで,カスピ海からエチオピアまでの地図も作成。ほかに閏年を含む暦を作成し,多くの詩も書き残している。失明し,80歳のとき生活の疲れから絶食して死亡したといわれる。

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百科事典マイペディア 「エラトステネス」の意味・わかりやすい解説

エラトステネス

ギリシアの天文・地理・数学者。アレクサンドリア図書館長。夏至の正午にシエネとアレクサンドリアから見た太陽の方向から地球の周囲を25万スタジア(約4万km)と算出,既知の世界の地図を作り黄道の傾斜を23°51′と計算。→エラトステネスの篩(ふるい)

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「エラトステネス」の解説

エラトステネス
Eratosthenes

前285頃~前194頃

キュレネ生まれのヘレニズム時代有数の学者。アレクサンドリア図書館長となり,文献学,地理学など多方面に活躍し,特に地球の周囲を初めて科学的に測定して,かなり正確な結果を得た。

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旺文社世界史事典 三訂版 「エラトステネス」の解説

エラトステネス
Eratosthenes

前275ごろ〜前194ごろ
ヘレニズム時代の地理学者・天文学者
アフリカのキュレネに生まれ,のちアレクサンドリアの図書館長となる。また,文献学・数学・占星術などにも通じ,地球の周囲(子午線)を4万6250km(実際は約4万㎞)と測定したことは有名。彼の学説はルネサンス時代に復活し,大航海時代の開始に影響を与えた。著書は『地理学』。

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世界大百科事典(旧版)内のエラトステネスの言及

【アレクサンドリア図書館】より

…こうしたいわば文献学的方向に仕事が傾いていたことは,アリストテレス流のリュケイオン学風を受け継いだ証左であろう。初代館長ゼノドトスはホメロスを校訂した文献学者,第2代館長は《アルゴナウティカ》で有名な詩人ロドスのアポロニオス,第3代は子午線測定で特に有名なエラトステネスと続き,前2世紀半ばの第6代館長サモトラケのアリスタルコスまでは各代随一の学者・文人が任命されたが,以後軍人や役人が館長に任命されることもあり,学問の機関としては次第に衰退した。のちキリスト教時代に入って異教文化破壊に遭遇,389年司教テオフィロスにより焼き払われて存在を終わった。…

【暦】より

…この紀年の大きな利点は全ギリシアに共通して用いうるという点であった。オリンピック競技会勝利者一覧をまとめた前3世紀のエラトステネスは,オリンピック紀元とは別に,トロイア陥落(前1183年とされた)を基準とする紀元を考案した。オリンピック紀元はビザンティン期の年代記作者にも利用された。…

【地図】より

…地図の作成においても球面座標が必要となり,天球図を描くのに使われていた投影法を借用することになった。地図に経緯線を記入した最初の人はアレクサンドリアのエラトステネス(前3世紀)とされており,著名な地点のみを通る直線の経緯線が不等間隔に引かれていたという。地図学の水準を今日と大差ないまでに引き上げたのは,後2世紀のアレクサンドリアの天文学者プトレマイオスで,正距円錐図法とプトレマイオス第2図法を考案し,約8000地点に及ぶ世界各地の経緯度数値を資料として世界図を描いた。…

【文献学】より

…古典として特別視されるテキストを正確に解釈する学問としての文献学はアレクサンドリア期のホメロス研究からであろう。〈文献学者〉すなわちフィロロゴスとして自己規定した最古の学者のひとりはアレクサンドリアのエラトステネスであるといわれる。前3世紀にさかのぼるアレクサンドリアのホメロス研究は本文校訂法を生み文法研究を育てたが,ディオニュシオス・ハリカルナッセウスに依って技法研究が加えられローマ時代の注釈術に継承されてゆく。…

※「エラトステネス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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