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オウム病【オウムびょう】
元来オウム,カナリアなどの鳥類の伝染病であるが,人体にも感染する。病原体はかつては大型のウイルスといわれたが,今日では細菌のクラミジアに属するとされる。症状は,発熱,頭痛,筋肉痛,咳,全身倦怠(けんたい)などで,肺炎を併発することもある。重症ではまれに死亡例もある。治療にはテトラサイクリンなどを用いる。
→関連項目クラミジア感染症|細菌兵器|人獣共通伝染病
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オウム病
オウム病クラミジアと呼ばれる細菌の一種を病原体とし、これを保菌するインコ、オウム、ハトなどの鳥を媒介とする人獣共通感染症。鳥の分泌物、羽毛、乾燥した排泄物などを吸入することによる飛沫感染の他、口移しでの給餌による経口感染、咬傷(こうしょう)による経皮感染によって起こる。人から人への感染はまれだが、オウム病に感染した哺乳類との接触で人が感染するケースもある。1~2週間の潜伏期間の後、急な発熱や頭痛、咳、全身倦怠感、食欲不振、筋肉痛、関節痛など風邪やインフルエンザに似た症状が現れ、気管支炎や肺炎を発症する。30歳以上の成人に発症することが多く、高齢者や免疫力が低下している人では重症化することもある。日本では毎年数十人ほどの感染報告があり、高齢者の死亡例も見られる。また、2017年には国内初となる妊婦の死亡例が確認されている。
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オウム病
おうむびょう
もともと鳥類の伝染病であるが、病原体をもつ飼い鳥(インコ、オウム、カナリア、ジュウシマツ、ブンチョウなどの輸入鳥)や野鳥のドバトなどとの接触によってヒトにも感染する。感染症予防・医療法(感染症法)では、4類感染症に分類される。
病原体はオウム病クラミジアChlamydia psittaciで、汚染された羽毛や分泌物、排泄物(はいせつぶつ)などの吸入や咬傷(こうしょう)によって感染するが、鳥の糞(ふん)が乾燥飛散したときに吸入する場合が多い。潜伏期は7~14日で、発病は急なこともあれば緩慢な場合もある。1~3週間にわたる高熱、食欲不振、頭痛、筋肉痛、咳(せき)、喀痰(かくたん)などが定型的症状であるが、なかには熱と咳が出て感冒程度の軽症ですむ場合も多い。診断はX線検査で肺門部から病変が広がる肺炎像が認められ、鳥類との接触歴があれば、ほぼ決められる。治療にはテトラサイクリン系の抗生物質が著効を示す。重症の場合は循環不全や脳神経症状、肝不全などを伴い死亡することもあるが、化学療法の導入以後の予後は良好で、致命率は1%以下になった。ヒトからヒトへの感染もあるので、有熱期間中は患者を他者から離し、衣類や器具の消毒、とくに痰や糞便の取扱いに注意する。また、愛玩(あいがん)鳥の管理をよくし、餌(えさ)の中に抗生物質を混入することも行われる。[柳下徳雄]
クラミジア目クラミジア科クラミジア属に属するオウム病の病原体。現在はリケッチア群に含まれている。直径0.2~1.5マイクロメートル、球菌状で、ギムザ染色により染色される。細胞壁があり、RNAとDNAをともに有する。ヨードで染色されない封入体をつくり、サルファ剤に感受性がないのが特徴である。[曽根田正己]
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