オムスク(その他表記)Omsk

デジタル大辞泉 「オムスク」の意味・読み・例文・類語

オムスク(Omsk/Омск)

ロシア連邦オムスク州都市。同州の州都。シベリア西部、イルティシ川と支流オミ川合流点に位置する河港都市。シベリア鉄道が通り、農畜産物の集散地石油化学工業も盛ん。18世紀初頭に建造された要塞に起源する。帝政ロシア時代の流刑地の一つで、作家ドストエフスキーも服役した。ロシア革命に反対した指導者コルチャークが一時首都を置いた。人口、行政区113万(2008)。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「オムスク」の意味・読み・例文・類語

オムスク

  1. ( Omsk ) ロシア連邦、シベリア西部の都市。オムスク州の州都。一七一六年、要塞(ようさい)として建設され、以来、シベリア西部開拓の中心地。一九一八年には、反革命勢力の臨時シベリア政府の首都となった。現在は、精油、石油化学などの工業が発達。研究、教育施設も多い。イルティシュ川の河港で、シベリア鉄道の要駅。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「オムスク」の意味・わかりやすい解説

オムスク
Omsk

ロシア連邦中部,オムスク州の州都。オミ川とイルティシ川の合流点に位置し,水陸交通の要所にある。人口114万2773(2004)。ノボシビルスクにつぐシベリア第2の都会。1716年要塞として建設され,19世紀には西シベリア総督府が置かれた(1824-82)。作家のドストエフスキーは1850-54年当地に流刑され,その体験をもとに〈《死の家の記録》〉を書いた。1894-95年シベリア鉄道によってチェリャビンスクおよびオビと結ばれ,さらに1913年にはチュメニとの間にも鉄道が通じた。20世紀初めのオムスクは穀物の積出しを中心とする商業都市で,工業の発達は遅れていた。ロシア革命後ただちにソビエト政権が樹立されたが,18年6月白衛軍の占領するところとなり,オムスクはコルチャーク政権の主都となった。19年11月赤軍によって解放され,22年まで〈シベリア革命委員会〉が置かれた。ソビエト政権下で工業,とくに機械製造や石油精製,食品加工などが発展した。とくに67年にウスチ・バリクUst'-Balyk~オムスク間(1036km)に石油パイプラインが敷設されて以来,石油化学工業がさかんになった。74年にはオムスク大学が設立された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オムスク」の意味・わかりやすい解説

オムスク
おむすく
Омск/Omsk

ロシア連邦中部、オムスク州の州都。イルティシ川に支流オミ川が流入する地点にある河港都市で、シベリア鉄道の分岐点になっており、空港もあって、交通の要地である。人口115万7600(1999)の大都市。大規模な石油化学コンビナートがある。原料石油はオビ川中流域の油田から、1965年以来供給されている。化学(製油、カーボン・ブラック、合成ゴム、ゴムタイヤ、ゴム製品)、機械製造(モーター、トラクターや自動車の部品、自動連結器、農機、電機、化学・軽工業用機)、船舶修理、軽工業(皮革、履き物、家具、繊維、毛皮オーバー、羅紗(らしゃ)織、じゅうたん、縫製)、食料品(精肉、製粉)、建設資材(れんが、鉄筋コンクリート製品)などの工業がある。オムスク総合大学、単科大学および高等専門学校(医、農、工芸、獣医、自動車・道路、鉄道技師、教育、体育)、劇場、博物館、美術館などがあり、学術、文化の中心地でもある。

 市の起源は1716年にイルティシ川右岸に建設された遊牧民に対する国境要塞(ようさい)で、その後この地方の政治、経済の中心地となった。帝政時代には流刑地の一つで、1850~54年に作家ドストエフスキーの流刑があった。1894~95年にチェリャビンスクからシベリア鉄道が同市を経てオビ川まで達し、1913年にはチュメニへも支線が通じた。18年6月には反革命軍に占拠され、翌年11月までコルチャーク政権の首都となった。

[三上正利]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オムスク」の意味・わかりやすい解説

オムスク
Omsk

ロシア中部,西シベリア南部,オムスク州の州都。西シベリア低地南部,イルトゥイシ川中流部にのぞむ河港都市で,オミ川の流入点に位置する。 1716年イシム防衛線の東境の要塞として建設され,のち農業地帯の中心地として発展。 1890年代にシベリア横断鉄道が通じてからは,イルトゥイシ=オビ水系への貨物積替え地となり,商業が発達。革命後,特に第2次世界大戦中から工業が急速に発展し,人口も急増。現在,農業機械,繊維,皮革・製靴,食品 (製粉,食肉) ,木材加工などの工業があるほか,ボルガ=ウラル油田,西シベリア油田からパイプラインで供給される石油により,石油精製,石油化学 (合成ゴム,タール,プラスチック,タイヤ) などの新しい工業が発達している。オムスク大学 (1974) をはじめ,農業,機械,医学,教育などの大学や,劇場,美術館,郷土博物館などの教育・文化施設がある。鉄道交通,河川交通の要地であるとともに,航空の要地で,モスクワその他の都市と空路で結ばれている。人口 115万3971(2010)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「オムスク」の意味・わかりやすい解説

オムスク

ロシア,西シベリアの都市。イルティシ川とオミ川との合流点にあり,シベリア鉄道の主要駅。教育・文化の中心で理工学関係の専門学校がある。機械・化学工業が行われる。1967年チュメニ油田とパイプラインで結ばれて以降,石油化学産業が発展。1716年創設。1918年―1919年反革命のコルチャーク政府があった。115万人(2010)。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android