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カオス カオス Chaos

翻訳|Chaos

9件 の用語解説(カオスの意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

カオス
カオス
Chaos

宇宙 (コスモス) が生成する以前の原古に存在したとされる混沌の状態をさすギリシア語。原意は,「大きく口を開けた」虚の空間を意味したと思われるが,その中にはすでに万物の胚種が混り合っていたともいう。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

カオス

ニュートン力学の決定論世界に現れる予測困難な非周期変動。この存在は19世紀、太陽系の天体運動など多体問題の探究でわかったが、1960年代以降、流体を扱う気象学、生物の増殖曲線を考える数理生態学などで研究が進んだ。複雑系科学の核。初期値に対して敏感で、方程式に入れる最初の値を少しずらすだけで系の未来像が大きく変わる。これは、蝶のはばたきさえも遠くの気象に影響しうるという意味で、バタフライ効果呼ばれるカオスの変数をグラフにすると、1つの点や1つの輪に収束せず行きつ戻りつする。この軌跡がストレンジ・アトラクター。

(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

カオス(〈ギリシャ〉chaos)

ギリシャ人の考えた、宇宙発生以前のすべてが混沌(こんとん)としている状態。混沌。無秩序。ケーオス。⇔コスモス
特定の規則や微分方程式に従う系に生じる、不規則で乱雑な予測不可能な挙動。系自体は決定論的だが、系の変化が初期条件に極めて鋭敏に反応し、数値計算の誤差が時間の推移とともに増幅される非線形性をもつため、計算精度をいくら向上させても、事実上、正確に予測できない現象を指す。確率的な乱雑さとは異なるため、決定論的カオスともいう。

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百科事典マイペディアの解説

カオス

決定論的な方程式に従う系でも,一見,極めて不規則で,しかも予測困難な挙動を示すことがあり,この挙動をカオスという。数学的には,力学系の軌道ψ(x)(0≦x<∞)が周期的でない場合をさす。

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岩石学辞典の解説

カオス

衝上断層に伴う巨大角礫岩[Noble : 1941].

出典|朝倉書店
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世界大百科事典 第2版の解説

カオス【chaos】

秩序としてのコスモスに対立するギリシア語。〈混沌〉と訳される。この語の初出は前700年ころのギリシアの詩人ヘシオドスの《神統記》においてである。そこではカオスは宇宙形成の原初に出現したとされるが,語義として〈口を開けた空間〉が推定され,天と地の裂け目を意味するとみられる。このように宇宙形成における分化・区分の作用力とみることができるが,他方,ローマの詩人オウィディウスのように,宇宙形成以前の万物の混沌状態を示すとする見方もある。

カオス【chaos】

数学的現象の名称。人口や生物の個体数の時間的変化を記述する数学のモデルの歴史を考えてみよう。T.R.マルサスの法則(1780)はu(t)を時刻tでの個体数として,微分方程式du/dtAuで記し,この解としてutの指数関数exp(At)となる。Aは正のとき増殖率と呼ばれ,時間がたてば人口または個体数は無限に増えつづける。つぎに出たモデルはベルハルストP.F.Verhulstが1838年に,アメリカの人口増加のモデルとして提案したもので,ε,hを正の定数とすればdu/dt=(ε-hu)uと書かれる。

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大辞林 第三版の解説

カオス【khaos】

混沌こんとん。混乱。
ギリシャ神話の宇宙開闢かいびやく説における万物発生以前の秩序なき状態。また、同時にすべての事物を生みだすことのできる根源。ケイオス。 ↔ コスモス
初期条件・境界条件を定めると以後の運動が決まるような簡単な系であっても、初期条件のわずかな差で大きく違った結果を生ずるような現象。気象現象・乱流や生態系の変動などに見られる。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カオス
かおす
Chaos

ギリシア神話で、宇宙開闢(かいびゃく)のとき真っ先に生じた「原初の巨大な空隙(くうげき)」のこと。ヘシオドスの『神統記』によれば、これに続いてガイア(大地)とタルタロス(奈落(ならく)の底)とエロス(愛)が生じ、カオスはエレボス(闇(やみ))とニクス(夜)を生んだ。カオスは、あらゆる生(な)り出(い)ずるものの素(もと)と生成へのエネルギーを内に秘めた生成の場としての空隙のことであって、中国神話における混沌(こんとん)や、無秩序という意味での混沌と同一視するのは正確ではない。[中務哲郎]

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世界大百科事典内のカオスの言及

【宇宙】より


〔宇宙観の変遷〕
欧米語で宇宙に相当する基本概念は,〈コスモス〉であるが,この語はギリシア語のkosmosに由来する。元来は〈秩序〉,もしくは〈秩序正しい状態〉を意味し,カオスchaos,すなわち〈混沌〉に対立する。古代ギリシアにおいて,神話的な世界創成はヘシオドスの《神統記》までさかのぼることができるが,そこでは,すべてに先立ってカオスが設定されており,その生成は不問のままである。…

【カオス】より

…数学的現象の名称。人口や生物の個体数の時間的変化を記述する数学のモデルの歴史を考えてみよう。T.R.マルサスの法則(1780)はu(t)を時刻tでの個体数として,微分方程式du/dtAuで記し,この解としてutの指数関数exp(At)となる。Aは正のとき増殖率と呼ばれ,時間がたてば人口または個体数は無限に増えつづける。つぎに出たモデルはベルハルストP.F.Verhulstが1838年に,アメリカの人口増加のモデルとして提案したもので,ε,hを正の定数とすればdu/dt=(ε-hu)uと書かれる。…

【非線形力学】より

…ローレンツ方程式の非線形性はごく簡単なものであるが,それにもかかわらず可変パラメーターr(レーリー数に相当)を正の小さな値から増大させていくと,不動点(XYZ=0)が不安定となり,ついには非周期運動が現れることを見いだし,ローレンツはこれをもって乱流状態を説明するものとしたのである。のち,このような解はカオスchaosと呼ばれて非線形力学系に普遍的な現象であることがわかってきた。
[ポピュレーション・ダイナミクスpopulation dynamics]
 一種または数種の集団X,Y,……において,各集団を構成する個体の数が環境の作用や集団相互の交渉により変化する場合,そのような個体数の消長を調べる方程式は非線形力学方程式となり,化学反応論,集団生物学,社会学などに役だっている。…

【宇宙】より


〔宇宙観の変遷〕
欧米語で宇宙に相当する基本概念は,〈コスモス〉であるが,この語はギリシア語のkosmosに由来する。元来は〈秩序〉,もしくは〈秩序正しい状態〉を意味し,カオスchaos,すなわち〈混沌〉に対立する。古代ギリシアにおいて,神話的な世界創成はヘシオドスの《神統記》までさかのぼることができるが,そこでは,すべてに先立ってカオスが設定されており,その生成は不問のままである。…

【ギリシア神話】より


[宇宙の生成]
 幾種かの宇宙生成神話が伝えられるうちで,もっとも規範的なのはヘシオドスの語るもので,ここでは神々も宇宙も生まれ出てくるものと構想される。最初は空虚を意味するカオスが,ついでガイア(大地)とその奥底なるタルタロスが,さらにいわばいっさいの生成の根源力としてエロスが生じた。カオス(中性名詞)からは形なきものどものエレボスErebos(闇)とニュクスNyx(夜)とが,そして夜から輝く上天の気アイテルAithērとヘメラHēmera(昼)とが生まれる。…

【ギリシア哲学】より

…もちろんアリストテレスも言うように,一という語にはさまざまの意味があり,したがって一なるもの,一つの全体,一つの宇宙と言っても,それぞれの哲学において異なった姿を見せているのだが,ギリシア哲学のこの一への志向はどう説明したらよいのだろうか。例えばヘシオドスの神話的な宇宙論では,そもそもの初めに〈カオス〉があったとされている。そしてカオスからまず大地母神が生まれてくる次第になっているが,もしカオスという語のもとに〈カスケインchaskein〉(〈あくびをする〉の意)という動詞を想定することができれば,〈初めにあくびありき〉,言いかえれば〈初めに分裂ありき〉ということになるだろう。…

【混沌】より

…また,物事が混然としてひとつになっているさま。ギリシア語のカオスに相当する。中国では,渾沌,渾敦,倱仛,渾淪などと表記されることもある。…

【錬金術】より

… 錬金術では,エジプト語のkhemet(黒い土)という言葉のもつ神秘性,万物がそこから生まれる聖なる始源という意味が重要である。古代ギリシアでも,ヘシオドス(前700ころ)の創世神話に登場する始原のカオス(混沌)は幽冥の世界であった。そしてそこから生まれる暗黒のニュクス(夜)が光り輝く神的な宇宙秩序の母だとすれば,ここでも暗黒はすべての〈初め〉として畏敬を払われていたことになる。…

【非線形力学】より

…ローレンツ方程式の非線形性はごく簡単なものであるが,それにもかかわらず可変パラメーターr(レーリー数に相当)を正の小さな値から増大させていくと,不動点(XYZ=0)が不安定となり,ついには非周期運動が現れることを見いだし,ローレンツはこれをもって乱流状態を説明するものとしたのである。のち,このような解はカオスchaosと呼ばれて非線形力学系に普遍的な現象であることがわかってきた。
[ポピュレーション・ダイナミクスpopulation dynamics]
 一種または数種の集団X,Y,……において,各集団を構成する個体の数が環境の作用や集団相互の交渉により変化する場合,そのような個体数の消長を調べる方程式は非線形力学方程式となり,化学反応論,集団生物学,社会学などに役だっている。…

【複雑系】より

…もちろん,分析的手法をまったく拒否しているのではなく,それを(暗黙のうちにでも)認めたうえで複雑系の研究は進められている。 例えば,カオスは,このような非線形力学系にありふれた現象である。カオスとは,あるシステムが〈ある時点での状態(初期状態)が決まればその後の状態が原理的にすべて決定される〉という決定論的法則に従っているにもかかわらず,非常に複雑で不規則かつ不安定な振舞いをして,遠い将来における状態が予測不可能な現象のことである。…

※「カオス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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