(読み)ケイ

デジタル大辞泉 「系」の意味・読み・例文・類語

けい【系】[漢字項目]

[音]ケイ(漢)
学習漢字]6年
糸すじのようにつながるもの。次々につながった関係。「系図系統系譜系列家系山系水系直系同系母系傍系
組織立ったまとまり。「大系体系
[名のり]いと・つぎ・つら・とし

けい【系】

ある関係をもって、一つのつながりやまとまりをなすもの。系統。「一つのを形成する」
名詞に付いて、一つのまとまりのある関係にあることを表す語。「理科に進む」「外資の企業」「太陽」「銀河」「MKS単位
《鉄道会社によっては「型」または「形」を使う》一つの設計で量産された鉄道車両であることを示す記号。「新幹線N700系」のように表示する。
数学で、一つの定理から容易に導かれる命題。
地質年代に基づく地層区分。地質年代区分の「」に対応し、地層区分「」の下位区分。例えば、中生代の地層は中世界、後期白亜紀の地層は上部白亜と区分される。
生物学で、ある機能に関する器官であることを表す語。「泌尿器の病気」
[補説]俗語では2を発展させて、「ギャル系の話し方」「ビジュアル系バンド」「いかにも体育会系の若者」「いやし系」などと用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「系」の意味・読み・例文・類語

けい【系】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ある関係をもって、つながりをなすもの。系統。ちすじ。体系。特に、理化学では、一定の相互作用または相互連関を持つ物体の集合体をいう。〔哲学字彙(1881)〕
    1. [初出の実例]「箇々別々の事実を一つに系に纏める様な仕事には」(出典:科学者と芸術家(1916)〈寺田寅彦〉)
    2. [その他の文献]〔左思‐魏都賦〕
  3. 数学で、一つの定理からすぐに導かれる利用価値の高い命題の、もとの定理に対する称。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕
  4. 地層区分の単位の一つ。地質時代の区分の単位「紀」に対応する地層群をさす。たとえば石炭系と呼ばれる地層群の堆積した時を石炭紀と呼ぶなど。

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普及版 字通 「系」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

[字音] ケイ
[字訓] いとすじ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
飾り糸を垂れている形。〔説文〕十二下に「(か)くるなり」とあり、重文二を録する。その籀文の字形は卜文・金文にみえるもので、呪飾として用いる組紐の形とみられる。いわゆる組。顯(顕)の字形は、珠(日の形)にその組を加えて拝する形で、それによって祖霊が顕現することをいう。また(らん)も神に祝する言の両旁に、組を施している形である。

[訓義]
1. 呪飾として加える糸飾り、かざりひも。
2. いとすじ、いとすじのはじめ。
3. かける、つなぐ、たれる。
4. 血すじ、家すじ、系図。

[古辞書の訓]
名義抄〕系 ツク・ツラヌ 〔立〕系 ツラヌル・ツラヌ・イト・ヨル

[部首]
〔説文〕に孫・緜・(よう)の三字を属し、〔玉〕に纛(とう)を加える。なお縣(県)もこの部に入るべき字であろう。孫を〔説文〕十二下に「系は續なり」と解するが、孫は祖を祀るときその尸(かたしろ)となるものであり、系はその尸たるものに施す呪飾である。また十二下に「隨從なり」とするのは、由(ゆう)声と通用の義によるもので、(よう)は祭肉と祝の器、その器に呪飾を加えた形である。

[声系]
〔説文〕に系(けい)声として係を収め、奚をその省声として奚(けい)声十二字を収める。奚は編髪の象に従うものであるから、組を示す系とは別系の字である。また鯀を系声とするが、字はまたに作り、系声の字とは定めがたい。

[語系]
系・係hye、kyeは声義近く、係束の意がある。人に系を加える係は縛の意、尸たるものに系を加えるのは、尸主(ししゆ)としての孫である。

[熟語]
系家・系継・系・系口・系図・系族・系続・系孫・系伝・系統・系譜・系璧・系列・系録
[下接語]
一系・家系・故系・根系・山系・女系・水系・世系・正系・姓系・先系・大系・体系・男系・直系・帝系・統系・同系・父系・譜系・母系・傍系・本系

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改訂新版 世界大百科事典 「系」の意味・わかりやすい解説

系 (けい)
corollary

数学や論理学において,一つの定理から容易に導かれる他の定理を,もとの定理の系という。例えば,〈二等辺三角形の2底角は等しい〉という定理を知れば,〈正三角形の3頂角は互いに等しい〉は容易に導かれるので,後者は前者の系である。

 また,三角形の内角の和は2直角であることを知ったあとで上の定理を知れば,正三角形の頂角は60°であることがすぐわかる。このように,既知の別の定理を考慮に入れた場合にも系といってもよい。なお,システムsystemという英語の訳語として系という語が用いられることも多い。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「系」の意味・わかりやすい解説


けい
system

地質時代における地層や岩石の区分単位の一つで、界より一段小さいもの。地質時代の紀に形成された地層や岩石をさし、三畳紀ジュラ紀、白亜紀、新第三紀のものは、それぞれ三畳系、ジュラ系白亜系、新第三系というように用いられる。系はいくつかの統を寄せ合わせたもので、たとえば新第三系は中新統、鮮新統の二つからなる。

[村田明広]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「系」の意味・わかりやすい解説

系[地質層序]
けい[ちしつそうじょ]
system

古生代以降の地層を地質年代層序区分するときの基礎的な単位。中間。地質年代区分のに対応し,紀の期間中に形成された地層をさす。地質年代層序区分はその地層の発達する特定地域を模式地として区分の標準とするが,系のような大きな単位になると,世界的な対比の基準に用いられるので,堆積環境を示す岩相に広く分布する化石,特に示準化石を加えて決めることが多い。

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化学辞典 第2版 「系」の解説


ケイ
system

自然を理解するために自然界を一部切りとったときの関係する一連の事柄,研究対象,物質の集合体など.単位系,力学系,光学系,熱力学系,開放系,孤立系,化学系,反応系結晶系均一系不均一系など,それぞれの分野で多様に使われている.

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岩石学辞典 「系」の解説

すべての物質で,その周囲の外界部分から完全に区別して隔離できる部分,様々な条件の下で,変化がその範囲中で起こると考えられるものをいう.この語は二成分系や三成分系のように成分の集まったもので,相の観点から温度,圧力,組成などの変化について研究されている[Levin, et al. : 1950].三成分系以上の成分系を平面に表すために様々な方法が考えられているが,実際には困難である.

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百科事典マイペディア 「系」の意味・わかりやすい解説

系【けい】

地質系統の区分の一つ。界を細分したもの。地質年代の紀に相当する。たとえば白亜系。
→関連項目

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とっさの日本語便利帳 「系」の解説

「族」ほど排他的ではない、ゆるやかな関係性を示すことば。渋谷系、ビジュアル系など。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【地質時代】より

…この言葉はまた,非常に長い時間とか,人類の歴史が始まる以前のはるかな過去を表現するときにも用いられる。なお,太陽系の誕生から地質時代に入るまでの歴史については〈地球〉の項目を参照されたい。
【地質系統geologic system】
 地質時代に地球に起こった現象を時間の順序に並べ地球の歴史を編んでいくためには三つの方法がとられる。…

【定理】より

…数学において,正しいことが証明できた事柄を定理という。理論構成において,多くの定理を得るわけであるが,その理論における位置づけによって,補助定理,系などの名称も用いる。すなわち,その理論構成において重要と考えるものをとくに定理と命名し,ある定理を導く段階で,証明などのため必要な定理を補助定理,または補題と呼ぶ。…

※「系」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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