カクレミノ(英語表記)Dendropanax trifidus(Thunb.)Makino

改訂新版 世界大百科事典 「カクレミノ」の意味・わかりやすい解説

カクレミノ
Dendropanax trifidus(Thunb.)Makino

暖地常緑樹林の中に生えるウコギ科の小高木。時に庭園に植えられることもある。葉は単葉で互生し,常緑葉柄があり,若い株のものでは多くは2~3裂するが,老木のものは卵形で全縁,長さ7~15cm,全体に毛がない。6~7月ころ,枝先に散形花序を作って,径4~5mmの淡緑色の小さい花をつける。花弁は5枚,おしべは5本,めしべは1個で子房下位,5~8室。果実は広楕円形で黒く熟し,長さ約8mm。日本の固有種で本州の関東地方以西と四国,九州に分布する。近縁のチョウセンカクレミノD.morbiferum Leb.から採れる樹液は,黄色のうるし状で,家具などの塗料にする。

 カクレミノ属Dendropanaxは世界に約30種,マレー半島から東アジアにかけてと,中南米とに分かれて分布する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カクレミノ」の意味・わかりやすい解説

カクレミノ
かくれみの / 隠蓑
[学] Dendropanax trifidus (Thunb.) Makino

ウコギ科(APG分類:ウコギ科)の常緑小高木。高さは普通は約5メートルで、樹皮は黄灰白色を帯びる。葉は互生し、厚い革質広卵形で浅く3~5裂し、長さ6~12センチメートル、長柄がある。花は7~8月、当年枝の先の散形花序につき、淡黄緑色。核果は黒紫色に熟す。沿岸地によく生え、宮城県以西の本州、四国、九州、沖縄、朝鮮半島と台湾に分布する。名は、葉の形を蓑(みの)に例えたもの。器具材や庭木として用いるほか、樹液を黄漆と称し塗料とする。カクレミノ属はアジアと熱帯アメリカに90種分布する。

[門田裕一 2021年11月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カクレミノ」の意味・わかりやすい解説

カクレミノ(隠蓑)
カクレミノ
Dendropanax trifidus

ウコギ科の常緑の小高木。関東地方より西の各地の山中に生じる。人家に植えることもある。葉は長い柄があって互生し,長さ6~10cmの卵形で上部が浅く2~3裂するものもある。特に若枝の葉は大型で,明瞭に3裂する。やや硬く光沢があり,質感はヤツデの葉に似ている。初夏に,枝先に散形花序をつけ,黄緑色の5弁の小花を多数つける。果実は 1cm足らずの楕円形で黒く熟する。樹皮に粘性のある樹脂を含み,かつては塗料用に使われたこともある。

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百科事典マイペディア 「カクレミノ」の意味・わかりやすい解説

カクレミノ

関東〜沖縄の暖地の山野にはえるウコギ科の常緑小高木。葉は枝先に集まって互生し,革質で光沢があり,主脈は3本。老木の葉は倒卵形で切れ込みがないが,若木では深く3〜5裂する。夏,小枝の先に径5mmほどの柄のある淡黄緑花を散形につける。果実は晩秋に黒熟。庭木とする。

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