翻訳|cultivator
畑作物の管理作業に用いる農業機械。作物が生育するにつれて,周囲の土壌が固まるので土を浅く耕す必要がある(中耕作業)。また雑草を取り除いたり(除草作業),作物の根際に土を寄せて雑草を抑えたり,作物が倒れないようにする(培土作業)ことも行われる。カルチベーターは本来このような中耕,除草,培土作業を行う機械である。しかしこれらの作業のほか,簡易耕起,砕土,均平,覆土などにも広く使われることがある。
現在日本で使用されているカルチベーターには,乗用トラクター用のものと歩行用トラクター用のものとがある。乗用トラクターでは,トラクターの後部,腹部または前部にカルチベーターをつけ作業を行う。作物が生えている圃場(ほじよう)での作業であるため,トラクター操縦者からよく見える前部または腹部への装着が好まれる。歩行用トラクターでは後部にカルチベーターを装着する。
カルチベーターの構造は,土または雑草を切るカルチベーター刃(ツール)と,それを支える支桿(しかん)(シャンク),およびシャンクを取りつけるフレームまたはツールバーよりなり,フレームやツールバーをトラクターにつけて作業をさせる。作物の生えている畝間の作業をするため畝間隔に従って,シャンクをフレームにとりつける位置を左右に動かして,ツールがちょうど畝間にくるよう調節できるようになっている。一度に何畝の作業をできるかによって,例えば〈4畝カルチベーター〉のように大きさを表示する。カルチベーター刃には大別して中耕刃,除草刃,培土刃の3種類があるが,このほか特殊な目的のためのスプリング刃,ディスク刃,護葉刃などがあり,これらの付属品の取りかえや組合せによって,本来の中耕,除草,培土のほか,簡易耕起や砕土などいろいろな作業に利用できるものである。
カルチベーターは欧米で発達したもので,とくに18世紀にいろいろな改良が加えられ発展したといわれる。日本では明治時代に入って北海道で早くから使われていたが,第2次世界大戦後広く利用されるようになった。かつては人力用,畜力用のものも使われたが,現在日本ではトラクター用のものだけが用いられている。
カルチベーターの作業能率は,たとえば歩行用トラクターの2畝カルチベーターで約0.3ha/h,乗用トラクター用4畝カルチベーターで1.2ha/h程度である。カルチベーター作業は作物が生えている中(立毛中)を作業するため,作物を傷つけないよう細心の注意を払う必要があり,高い作業精度を要し,トラクター操縦には神経をつかうものである。これを解決するために,自動的に作物の列を感知してトラクターを走らせる方式が開発されている。
→農業機械
執筆者:木谷 収
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
欧米で開発された畑作物用の中耕除草機。中耕爪(づめ)、除草・培土刃を雑草の程度にあわせて調整し、爪刃の引き抜き作用、切断作用、埋没作用の組合せによって条間の除草を行うもので、最近は除草剤と組み合わせて、作物の生育初期から中期にかけ1~2回程度の機械除草に使用する。畜力用1条5本爪カルチベーターが1870年(明治3)プラウとともにアメリカから輸入され、北海道の畑作地帯で利用されていたが、昭和20年代に急速に普及した府県では、畑作物の中耕除草以外に、中耕爪と除草刃の調整によって、ムギの簡易整地や土入れ、ムギの踏圧(とうあつ)といも(ジャガイモ)の掘り取りなど広範囲に使用されてきた。その後、役畜が機械に置き換えられ、テイラー用の1~2条、トラクター用の3~5条の多条カルチベーターが利用され、さらに動力で爪刃を回転させながら中耕除草を行うロータリー式カルチベーターの利用が増加の傾向にある。
[佐藤清美]
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新