日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガマ腫」の意味・わかりやすい解説
ガマ腫
がましゅ
口腔(こうくう)底の舌下腺(ぜっかせん)、顎下(がくか)腺の排出管に閉鎖がおきたり、通過障害が生じたとき、唾液(だえき)の貯留によってできる嚢胞(のうほう)(腺管腔が異常に拡張した状態)をいう。大きくなるとガマ(ヒキガエル)の喉頭嚢(こうとうのう)に似てくるところから、この名称がつけられた。一般に、片側性に口腔底が腫(は)れる舌下型が多く、ほかに顎下型、舌下顎下型があるが、まれである。舌下型では、口腔底粘膜が押し上げられ膨隆が目だち、大きくなると粘膜を通して内容物がみえるようになり、注射器によって、淡黄褐色のねばりけのある濃い内容物を吸引できる。痛みはないが、大きくなると発音、嚥下(えんげ)障害がおこるようになる。治療法としては、全摘出が原則であるが、嚢胞壁が薄いため、粘液が貯留しないように、前壁だけを切除して口腔内に開放する副腔形成法も行われる。
[土谷尚之]
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