ガルシア・マルケス(英語表記)García Márquez, Gabriel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ガルシア・マルケス
García Márquez, Gabriel

[生]1927.3.6. コロンビア,アラカタカ
[没]2014.4.17. メキシコ,メキシコシティー
コロンビアの小説家。アルゼンチンの詩人ホルヘ・ルイス・ボルヘスと並んで,史上最も著名なラテンアメリカの作家。8歳まで母方の祖父母の家で育つ。ボゴタ大学で法律を学び,1950年代にジャーナリストとしてヨーロッパに渡り,パリ駐在中に多くのアメリカ文学に親しむ。キューバ革命の直後に一時,キューバの国営通信社プレンサ・ラティーナのニューヨーク特派員を務めたこともある。その後メキシコに移り,メキシコシティーで小説を書き始める。『落葉』La hojarasca(1955),『大佐に手紙は来ない』El coronel no tiene quien le escriba(1961),『悪い時』La mala hora(1962),短編集『ママ・グランデの葬儀』Los funerales de la Mamá Grande(1962)などを発表して注目される。1967年,マコンドという架空の土地を舞台に,その建設者であるブエンディーア一族の歴史をたどるかたちで,ラテンアメリカの歴史を描いた大作『百年の孤独』Cien años de soledadを発表すると,現実と幻想が混交する魔術的リアリズムの手法で描いた傑作として空前のベストセラーとなった。ほかに,中世的な独裁的僭主の孤独な内面をえぐった政治小説『族長の秋』El otoño del patriarca(1975),『コレラの時代の愛』El amor en los tiempos del colera(1985),『わが悲しき娼婦たちの思い出』Memoria de mis putas tristes(2004),自伝『生きて,語り伝える』Vivir para contarla(2002)などがある。映画のシナリオ,ノンフィクションも手がけた。1982年ノーベル文学賞を受賞。

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百科事典マイペディアの解説

ガルシア・マルケス

コロンビアの作家。マグダレナ州サンタ・マルタ近くの小村アラカタカで生まれ,ボゴタ大学在学中に短編を書き始める。その後ジャーナリストとしてヨーロッパ,ベネズエラ等で活動するかたわら創作を続けた。初期の代表作は,中編《落葉》(1955年)。1967年に発表した長編百年の孤独》で,ラテン・アメリカの歴史を物語性豊かに描き出し,一躍世界的に注目される。その後独裁者の孤独を詩的に描いた長編《族長の秋》(1975年),19世紀の恋愛小説の手法を用いて,老人の恋愛をつづった長編《コレラ時代の愛》(1985年)などを出版。また,南米の解放者シモン・ボリーバルを主人公に据えた歴史小説《迷宮の将軍》(1989年)を発表するなど,テーマ・手法の両面で刷新を続けた。幻想と写実を融合させるその手法はマジックリアリズムと呼ばれ,多くの作家に影響を与えた。その他,《ある遭難者の物語》(1970年),《ある誘拐の報道》(1996年)などジャーナリズムに属するものでもすぐれた作品を残している。1982年ノーベル文学賞受賞。
→関連項目莫言

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ガルシア・マルケス
がるしあまるけす
Gabriel Garca Mrquez
(1928―2014)

コロンビアの小説家。電信技師の子として3月8日サンタ・マルタ州アラカタカに生まれる。幼・少年時代を母方の祖父母に育てられ、強い文学的影響を受けた。ボゴタ大学法学部中退後はジャーナリストとして、国内およびベネズエラの新聞、雑誌、さらにはキューバの通信社プレンサ・ラティナに勤め、ローマ、パリ、カラカス、ハバナ、ニューヨークと移りながら小説と取り組む。その間、独自の文学空間として創造した架空の土地マコンドを舞台に、『落葉』(1955)、『大佐に手紙は来ない』(1961)、『ママ・グランデの葬儀』(1962)、『悪い時』(1962)などの短編・中編を発表。その後しばらく小説を離れ、メキシコで映画の脚本を書いて糊口(ここう)をしのぎながら、マコンドの創世から消滅に至る物語を構想、これが『百年の孤独』となって1967年に刊行されるや、スペイン語圏はもとより、世界中の注目を集め、この作品によってラテンアメリカ現代小説の代表的存在となった。以後、短編集『純心なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨な物語』(1972)で新しい方向を目ざし、1975年には『百年の孤独』と並び称される、独裁者を主人公とした『族長の秋』を発表、1981年に出した中編『予告された殺人の記録』も超ベストセラーとなり、大きな反響をよんだ。彼はまたルポルタージュや政治評論も数多く手がけている。このほかの主要な作品に、『ある遭難者の物語』(1970)、『青い犬の眼』(1973)、『コレラの時代の愛』(1985)、『迷宮の将軍』(1989)、『誘拐』(1996)、ノンフィクションに『戒厳令下チリ潜入記――ある映画監督の冒険』(1986)などがある。
 1982年にノーベル文学賞を受賞した。1990年(平成2)新ラテンアメリカ映画祭出席のため来日。[内田吉彦]
『高見英一訳『落葉 短篇集』(1980・新潮社) ▽山陰昭子・神代修他訳『ガルシーア=マルケス全短篇集』(1983・創土社) ▽ガブリエル・ガルシア・マルケスほか著、鼓直訳『ジャーナリズム作品集』(1991・現代企画室) ▽堀内研二訳『ある遭難者の物語』(1992・水声社) ▽旦敬介訳『十二の遍歴の物語』(1994・新潮社) ▽旦敬介訳『愛その他の悪霊について』(1996・新潮社) ▽旦敬介訳『誘拐』(1997・角川春樹事務所) ▽鼓直訳『百年の孤独』(1999・新潮社) ▽郷正文著『作家と無意識』(2000・審美社) ▽野谷文昭訳『予告された殺人の記録』(新潮文庫) ▽桑名一博他訳『ママ・グランデの葬儀』(集英社文庫) ▽後藤政子訳『戒厳令下チリ潜入記――ある映画監督の冒険』(岩波新書) ▽木村栄一訳『エレンディラ』(ちくま文庫) ▽鼓直訳『族長の秋』(集英社文庫) ▽旦敬介訳『幸福な無名時代』(ちくま文庫)』

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