ギブソン(James Jerome Gibson)(読み)ぎぶそん(英語表記)James Jerome Gibson

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ギブソン(James Jerome Gibson)
ぎぶそん
James Jerome Gibson
(1904―1979)

アメリカの心理学者。オハイオ州の生まれ。プリンストン大学学士修士博士号をとる。そこでは行動主義のホルトEdwin Bissel Holt(1873―1946)の影響を受けた。1928年から1949年まで女子大学の名門スミス・カレッジで教えたが、そこにはコフカがおりゲシュタルト心理学洗礼を受けた。また、妻のE・J・ギブソンは彼の影響を受けて心理学を専攻した学生であった。視知覚に関する研究が多く、図形残効に関するギブソン効果の研究、視空間の構造に関する「きめ」の密度勾配(こうばい)説はその例である。彼は、感覚の存在を認めるが、感覚では知覚の恒常性は説明できないと考え、知覚の積極的性質を強調し、知覚とは刺激のなかに情報を求めようとするシステムであると主張する。

[宇津木保]

『J・J・ギブソン著、古崎敬他訳『生態学的視覚論――ヒトの知覚世界を探る』(1985・サイエンス社)』『T・J・ロンバード著、古崎敬・境敦史・河野哲也監訳『ギブソンの生態学的心理学――その哲学的・科学史的背景』(2000・勁草書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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