翻訳|gabardine
細い梳毛(そもう)糸で織った目のつんだ綾織物で,略してギャバともいう。60度前後の角度で,左下から右上に向かって斜文線が見えるのが表。似た織物にサージがある。原糸と組織は同じだが,ギャバジンのほうが経糸の密度が高いので,表面の斜文線はサージ45度ぐらいに対し,ギャバジンは65度ぐらいになり,張りは少ないが光沢はある。現在では毛織物のほかに綿,化学繊維,混紡,絹など種類があり,無地仕上げが多い。綿のギャバジンは,紺,茶などの無地染にするか漂白する。急角度の緻密な細めの綾目をあらわした綿ギャバジンに,バーバリーがある。また合繊や化繊のギャバジンは樹脂加工して,風合いや防しわ性をよくする。組織が密なので丈夫で耐久力があり,背広,コート,女物スーツ,子ども服などに風合いが生かされる。綿ギャバは白が代表的でスポーツウェアや作業服などに用いられている。スペイン語でガウンの一種を指すgabardineに由来。元来は中世にユダヤ人の着用した長い外衣,また貧民や乞食がまとった衣服のことを指したともいわれている。
執筆者:船戸 道子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ギャバとも略してよばれ、もとは経糸(たていと)に毛、緯糸(よこいと)に綿を使い、綾(あや)組織に緻密(ちみつ)に織り、畝(うね)を高くした織物。現在では純毛、純綿、化合繊などいろいろな繊維を使って織られている。この名称は、中世にユダヤ人が着ていた粗末な丈の長いオーバーをさしたことに由来するという。組織は主として、、の綾組織からなり、経糸の密度がこんだもので、堅くしっかりした地合いが特徴である。おもに樹脂加工して、婦人・子供服地や、防水加工を施してレインコート、ダスターコート地に使用されている。
綿ギャバジンのうち、細番手で細かい綾目を出したバーバリーといわれているものは、イギリスのバーバリー社の製品で、その登録商標でもあるが、いまでは薄地の綿・絹ギャバジンをさす一般的名称ともなっている。
[角山幸洋]
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