日本大百科全書(ニッポニカ) 「サージ」の意味・わかりやすい解説
サージ
さーじ
serge
広く一般に使われる実用的な織物の一つで、もと梳毛(そもう)糸を使った毛織物が多かったが、現在では化合繊によるものがほとんどである。サージの名称は、イタリア語の絹毛交織物sergeaからきたという説と、ラテン語の絹sericaからきたという説とがあるが、いずれとも決しがたい。組織は斜文組織からなるもので、経緯(たてよこ)ともほぼ同じ密度に織られているため、綾(あや)線は45度に近い線になっており、左下から右上にかけて走っている織面のほうが一般には生地(きじ)の表となる。仕上げには、表面に毛羽を多少残したものと、クリヤー・カットしたものとがある。
生地の種類には、正則斜文にしたものが普通であるが、山形斜文にしたヘリンボン・サージ、二重織としたダブル・サージなどがあり、薄地のものは春・夏・秋に、厚地は冬の服地に使われ、通学服などには多量に用いられている。比較的安価であるが、使用中に擦れて光りやすいのが難点で、アイロンかけには注意する必要がある。
[角山幸洋]