ドイツ中西部,ヘッセン州,ラーン河畔の大学都市。人口7万6374(1980)。歴史的にはヘッセン・ダルムシュタット方伯国の北辺の都市として,その北30kmの所にあるヘッセン・カッセル方伯国の大学都市マールブルクと対峙していた。大学は宗教改革後ルター派からカルバン派に改宗したヘッセン・カッセルとそのマールブルク大学(1527創立)に対抗して,ルター派の神学を守るべく,マールブルクを追われた教授を中心に1607年に創立されたもの。その後自然科学や農林・畜産学を中心とする大学になった。化学者J.vonリービヒはここの教授で,現在は医学部もあるこの大学の正式名称〈ユストゥス・リービヒ大学〉にその名を残す。第2次大戦中市街の3分の2が破壊され,戦後の復興はあったものの,大学以外に特に見るべきものはない。
執筆者:坂井 栄八郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ドイツ、ヘッセン州の都市。ラーン川左岸の段丘と丘陵地に位置する。人口7万3100(2000)。1150年に築かれた環濠(かんごう)の城を中心に集落が形成され、1248年に都市権を得た。16世紀に要塞(ようさい)化され、居城や武器庫など現存する建物が多くつくられた。19世紀に入り、鉄道の結節点として重要性をもつようになり、ヘッセン州中部の地方中心都市として急速に発展した。1607年に創立の大学は市内各所に施設を有し、著名な農芸化学者ユストゥス・リービヒの研究室を残す博物館、X線の発見者レントゲンの墓もある。工業は、伝統的なタバコ加工、工作機械製造に加え、鋳物、精密器械、光学、電子などの工業が立地する。
[朝野洋一]
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