クマリン(その他表記)coumarin
cumarin

デジタル大辞泉 「クマリン」の意味・読み・例文・類語

クマリン(〈フランス〉coumarine)

クルマバソウやトンカ豆などに含まれる芳香のある無色結晶。工業的にも生産される。化粧品香料などに使用

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精選版 日本国語大辞典 「クマリン」の意味・読み・例文・類語

クマリン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] coumarin ) 天然香料の一つ。南アメリカ熱帯地方産のトンカ豆に含まれる芳香性の精分。バニラに似る。
    1. [初出の実例]「ニラ、クマリン、トルーバルサム安息香も亦保留剤として一般に使用されます」(出典:化粧美学(1924)〈三須裕〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「クマリン」の意味・わかりやすい解説

クマリン
coumarin
cumarin


ベンゾ-α-ピロンにあたり,o-オキシケイ皮酸の分子内環状エステル(ラクトン)である。無色針状または柱状結晶。融点70℃,沸点291~302℃,昇華性がある。自然界では,芳香成分をもつクマリン植物と呼ばれるクルマバソウ,シナガワハギ,南アメリカ原産のトンカマメの種子,ジンチョウゲ,サクラの葉など100種余りの植物中に検出されている。植物体内ではクマリン酸の配糖体として液胞内に存在するが,乾燥や磨砕によってグルコシダーゼと接触すると加水分解し閉環してクマリンを生成する。生では香りがなく,乾燥したりかむと芳香を放つようになるのはこのためである。またクマリンの分解生成物デクマロールは有害で,シナガワハギの腐草を牧牛が食べると死ぬことがわかっている。

 サリチルアルデヒド無水酢酸とのパーキン反応によってo-ヒドロキシケイ皮酸を経て製造される。工業的にはo-クレゾールを出発原料として合成される。クマリンは古くから重要な香料として用いられてきたが,現在では安全性の面もあり,食品への使用は制限されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クマリン」の意味・わかりやすい解説

クマリン
くまりん
coumarin

芳香族γ(ガンマ)-ラクトンであり、南米ギアナ産トンカ豆に1.5%以上含まれ、サクラの葉やモモの花にも存在している甘い、ややスパイシーな香気をもつ白色柱状結晶である。工業的にはo(オルト)-クレゾールから製造するが、高級品はトンカ豆から抽出精製する。せっけん、シャンプーなど香粧品香料として用いるが、経口毒性が指摘されたため、日本やアメリカなどでは食品香料としては使用を禁止されている。しかし、工業用めっき光沢剤としては使用されている。

[佐藤菊正]


クマリン(データノート)
くまりんでーたのーと

クマリン

 分子式 C9H6O2
 分子量 146.1
 融点  71℃
 沸点  301.7℃

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化学辞典 第2版 「クマリン」の解説

クマリン
クマリン
coumarin, coumalin, cumalin

】coumarin.2H-1-benzopyran-2-one.C9H6O2(146.15).o-ヒドロキシケイ皮酸のラクトン.クローバーをはじめ各種の植物中に含まれる芳香成分.サリチルアルデヒドと無水酢酸および酢酸ナトリウムからパーキン反応により合成される.無色の結晶.融点68~70 ℃,沸点291 ℃.エタノール,熱水に可溶.希薄のときの香りは桜餅の葉を想起させ,またいくぶんベンズアルデヒドのような香気を有する.一般化粧品,食品香料として広く利用される.[CAS 91-64-5]【】coumalin,cumalin.α-ピロンに同じ.[別用語参照]ピロン

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百科事典マイペディア 「クマリン」の意味・わかりやすい解説

クマリン

ベンゼン環にα‐ピロンがついたかたちの化合物。芳香ある無色の結晶。融点71℃。トンカマメの芳香成分で,サクラの葉などにも微量含まれる。工業的にはサリチルアルデヒドまたはo‐クレゾールから合成。各種の誘導体も含め,香料として利用。殺鼠剤に使われることもある。(図)
→関連項目香料パーキン

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栄養・生化学辞典 「クマリン」の解説

クマリン

 C9H6O2 (mw146.15).

 植物に含まれ化粧品の香料になる.食用には用いない.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クマリン」の意味・わかりやすい解説

クマリン
coumarin

天然にはトンカ豆やセイヨウエビラハギ (メリロート草) 中に多量に含まれている。香料として有名。人工的にはサリチルアルデヒドと無水酢酸,酢酸ナトリウムから合成する。融点 71℃。結晶は無色針状または葉状で,水に難溶,熱水,アルコール,エーテルに可溶である。

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世界大百科事典(旧版)内のクマリンの言及

【ピロン】より

…融点5℃,沸点206~207℃。これにベンゼン環が縮合したベンゾ‐α‐ピロンはクマリンcoumarinといい,植物界に広く存在している。γ‐ピロンは,水,エチルアルコールに溶けやすい吸湿性結晶で,融点32℃,沸点119℃(35mmHg)。…

【ピロン】より

…カルボニル基の位置によってα‐ピロンとγ‐ピロンの2種の構造異性体がある。α‐ピロンはクマリンcoumalinともいい,一種のラクトンである。融点5℃,沸点206~207℃。…

【ラクトン】より

…β‐ラクトンから大環状ラクトンまで知られているが,γ‐ラクトンが最も安定でδ‐ラクトンがこれに次ぐ。各種の果実の中に微量に含まれるクマリンo‐オキシケイ皮酸のラクトンである。ラクトンは普通エステルに似た中性の液体で,エチルアルコール,エーテルなどの有機溶媒によく溶ける。…

※「クマリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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