クマリン(読み)くまりん(英語表記)coumarin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クマリン」の意味・わかりやすい解説

クマリン
くまりん
coumarin

芳香族γ(ガンマ)-ラクトンであり、南米ギアナ産トンカ豆に1.5%以上含まれ、サクラの葉やモモの花にも存在している甘い、ややスパイシーな香気をもつ白色柱状結晶である。工業的にはo(オルト)-クレゾールから製造するが、高級品はトンカ豆から抽出精製する。せっけん、シャンプーなど香粧品香料として用いるが、経口毒性が指摘されたため、日本やアメリカなどでは食品香料としては使用を禁止されている。しかし、工業用めっき光沢剤としては使用されている。

[佐藤菊正]


クマリン(データノート)
くまりんでーたのーと

クマリン

 分子式 C9H6O2
 分子量 146.1
 融点  71℃
 沸点  301.7℃

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クマリン」の意味・わかりやすい解説

クマリン
coumarin

天然にはトンカ豆やセイヨウエビラハギ (メリロート草) 中に多量に含まれている。香料として有名。人工的にはサリチルアルデヒド無水酢酸酢酸ナトリウムから合成する。融点 71℃。結晶は無色針状または葉状で,水に難溶,熱水アルコールエーテル可溶である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報