日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
クライバー(Erich Kleiber)
くらいばー
Erich Kleiber
(1890―1956)
オーストリアの指揮者。ウィーン生まれ。プラハ音楽院とプラハ大学で学び、1912年ダルムシュタット宮廷歌劇場指揮者としてデビュー、以後デュッセルドルフ、マンハイムを経て、23年ベルリン国立歌劇場の音楽総監督に就任。アルバン・ベルクのオペラ『ウォツェック』を初演するなど新機軸を出して注目されたが、34年ナチスの文化政策に反対して辞任、ドイツを離れた。36年から47年まで中南米で活躍、その後ヨーロッパ楽壇に復帰、54年にふたたびベルリン国立歌劇場の首席指揮者になったが、翌年政治的な理由で辞職した。ドイツ・オペラの指揮に独特の手腕を発揮し、とくにドイツ語を旋律にのせて歌わせるのに傑出した才能を示した。
[岩井宏之]