クワキウトル

  • Kwakiutl

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カナダ、太平洋岸のバンクーバー島付近に住む先住民集団(アメリカ・インディアン)。言語はワカシャン語族に属し、近縁の方言を話す約20の地縁集団の総称。各集団は通婚、交易を通して密接な関係を保っていたが、政治的に統一されてはいなかった。居住域はサケをはじめとする豊富な海産物に恵まれていたため、経済的余剰を生み出すことが可能であり、採集狩猟経済を基盤としながらも階層社会を形成していた。各集団は儀礼的な威信によってその地位が定まっており、集団内においてもそれを構成する出自集団の地位が決まっていた。出自集団はそれぞれ特別な狩場や漁場の使用権をもち、冬には供宴において余剰を贈与あるいは交換した。供宴の主催者は自らの富を誇示するために財産を破壊することもあったが、このような贈与や財産破壊は、主催者およびその出自集団がそれまでに相続した威信を確認、強化した。贈与を受けた者はかならず返礼しなければならず、この贈与・破壊競争をポトラッチとよぶ。社会の階層秩序を支えていたポトラッチも、ヨーロッパの製品が流入するとともに自己破壊的な大浪費競争となり、カナダ政府は1885年にポトラッチを禁止した。1951年まで続いた禁止の結果、社会構造の崩壊を招いた。人口も激減し、木彫などの伝統工芸は残っているものの、独自の文化を急速に失い、カナダ社会に吸収されつつある。しかし、一方復活したポトラッチと供宴を核にした文化復興の動きもある。

[木村秀雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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