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グリーナウェイ グリーナウェイ Greenaway, Kate

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

グリーナウェイ
グリーナウェイ
Greenaway, Kate

[生]1846.3.17. ロンドン
[没]1901.11.6. ロンドン
イギリスの女性絵本画家。子供向けの本の挿絵に新機軸を出して大成功を収めた。多くの批評家の称賛を得たが,とりわけイギリスの著名な美術評論家 J.ラスキンとは終生友人関係が続いた。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

グリーナウェイ
ぐりーなうぇい
Peter Greenaway
(1942― )

イギリスの映画監督、映像作家。ウェールズ南東部のニューポート生まれ。1946年にロンドンへ移住。父は事業家だったが、アマチュアの鳥類学者でもあった。父の出身地であるエセックスの森ですごした時間ともども父から受けた影響が、イギリスで伝統的に盛んな博物学の系譜に連なる「自然」や「風景」へのグリーナウェイの観察眼を育み、後年の彼の作品の基底となる。早くから画家を志すが、イングマール・ベルイマン監督作品『第七の封印』(1956)の衝撃から映画への関心も芽生える。両親は法律を学ぶことを息子に期待したが、彼は美術を選択、ウォルサムストン美術学校で絵画を学び、1964年にはロンドンのギャラリーで初の個展を開く。当時の彼のアートへの関心は、前述のイギリス的な自然観や風景画の延長線上にあるランド・アートにあった。翌1965年から8年間にわたって中央広報局に在籍して、おもにドキュメンタリー映画の編集の仕事に従事する一方、実験的な短編を習作として撮り始める。そうした実験映画群の集大成である3時間を越える初の長編『ザ・フォールズ』(1980)は、その年のBFI(ブリティッシュ・フィルム・インスティチュート)最優秀作品賞を獲得、グリーナウェイに長編劇映画の世界へと進出するチャンスをもたらした。
 貴族から館の庭園を描くよう依頼された画家を主人公とする長編劇映画デビュー作『英国式庭園殺人事件』(1982)では、自然を独特の方法で統御したイギリス式庭園をさらに絵画へと移し換える、といった複雑な表象の入れ子状態への関心が明確に示され、完成度の高い独自のアーティスティックな映像世界が各地の映画祭で評判となる。続く『ZOO』(1985)においては、フェルメールら17世紀のオランダ絵画の引用や、カメラの正面にベッドに横たわる女性を置きその両側に双子の主人公を配するといったシンメトリックな美学への耽溺(たんでき)が前面に出た。さらに本作で、一連のアラン・レネ作品、とりわけグリーナウェイに多大な影響を及ぼした『去年マリエンバートで』(1961)の撮影で知られるベテラン・カメラマン、サッシャ・ビエルニーSacha Vierny(1919―2001)による撮影、バロック音楽とミニマル・ミュージックの融合を図るマイケル・ナイマンの音楽という、グリーナウェイ作品群を特徴づけるコンビネーションが初めて形成され、彼の作風が確立されたといえる。
 映画監督というより、映画を媒体として選んだ画家や文学者であり、ハイブリッドな表現者であると自己を規定するグリーナウェイは、西欧絵画が描かれる対象に対してとる距離や批評性を映画に持ち込むことを目ざし、観客を知的共犯者に仕立てあげようとする。映画を単なる娯楽作品であることから解放させようとする彼にとって、「物語」とは、多様なコンセプトや素材、そしてメディアをつなぎあわせるための口実としてこそ重要なのであり、その点でも物語重視のハリウッドなどのメインストリームの映画と大きく異なるのだ。
 彼のフィルモグラフィーはその後、『建築家の腹』(1987)、『数に溺れて』(1988)、さらに豪華イタリアン・レストランでの飽食が人肉食にまで至るブラック・ユーモアに消費社会への批判的な言及を込めた『コックと泥棒、その妻と愛人』(1989)と旺盛(おうせい)な創作欲で積み重ねられた。八つのパートからなるビデオ作品「TVダンテ」A TV Dante Cantos 1-8(1988)で仕事をともにした、イギリスの名優ジョン・ギールグッドのリクエストから実現したシェークスピア最後の戯曲『テンペスト』の映画化『プロスペローの本』(1991)は、祖国を追放されたプロスペロー(ギールグッド)の船にゴンザローの手で積み込まれたとされる24冊の書物が次々とスクリーン上でひもとかれ、作中の登場人物であったはずのプロスペロー自身が『テンペスト』の執筆を始めるといった、グリーナウェイ好みの複雑な入れ子構造をもつ作品で、コンピュータ編集による合成技術を駆使するなど、彼にとっての映画の未来像を暗示するものと思われた。また、同じく「本」をタイトルに入れた作品『ピーター・グリーナウェイの枕草子』(1996。原題はThe Pillow Book)は、清少納言(せいしょうなごん)の同名の作品に着想を得たもので、日本、香港(ホンコン)、ロンドンで撮影された。グリーナウェイの『枕草子』への関心は、作者が自分の好きなもの、嫌いなもの等々を列挙し、分類する方法論にあり、彼にとってそれは、ボルテールやディドロらのフランス百科全書派から、世界を1冊の書物として構想したマラルメ、さらにはボルヘスやカルビーノに至る20世紀文学の理想の実現としてとらえられた。
 総じてグリーナウェイの仕事は、膨大な情報を詰め込んだ世界そのものとしてある1冊の書物を、さまざまなメディアの異種混交の実践を通してつくり出そうとするものと要約できる。[北小路隆志]

資料 監督作品一覧

ザ・フォールズ The Falls(1980)
英国式庭園殺人事件 The Draughtsman's Contract(1982)
ZOO A Zed & Two Noughts(1985)
建築家の腹 The Belly of an Architect(1987)
数に溺れて Drowning by Numbers(1988)
コックと泥棒、その妻と愛人 The Cook the Thief His Wife & Her Lover(1989)
プロスペローの本 Prospero's Books(1991)
ベイビー・オブ・マコン The Baby of Mcon(1993)
ピーター・グリーナウェイの枕草子 The Pillow Book(1996)
ピーター・グリーナウェイ 8 の女たち 8 Women(1999)
レンブラントの夜警 Nightwatching(2007)
『服部滋編『グリーナウェイ』(『イメージフォーラム』1992年1月臨時増刊号・ダゲレオ出版)』

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