地球規模で人類が共有している資産。国際公共財などと訳す。グローバルは全地球的な、全世界的な、を意味する英語で、コモンズの意味は共有地である。そもそもコモンズとは、イギリスの地域で牧草を管理するために行われた自治制度のcommonsに由来する名称で、今日では、入会地(いりあいち)や公海の水産資源など、だれもが利用できる共有資産をもいう。そのため、地域住民だけが利用できる共有材のローカル・コモンズに対してグローバル・コモンズが存在し、それは主権国家の管轄を超えて人類全体が生存していくために必要とする大気や大地、太陽、海洋、水、気候、氷層界といった、世界が共有している生態系そのものをさすととらえられる。さらに、宇宙やサイバー空間、国連や国連のPKO、国際条約といった、人類が平和に存在していくために必要な多くの活動までをも含む名称になっている。
このような概念の発展は、1959年に調印され、1961年に発効した南極条約がきっかけとなっている。この条約における領土権の凍結や平和的利用、国際協力の促進といった平和を重視する姿勢は、1960年代以降に進む核不拡散条約調印などの世界的な軍縮基調へと至っている。
日本の『防衛白書』(2013年版)では、安全保障上の課題としてグローバル・コモンズの安定利用に対するリスクが取り上げられている。それによると、宇宙状況監視機能を強化する次期Xバンド通信衛星の打ち上げ、サイバー空間における情報セキュリティ対策の強化、海洋基本計画の見直しなどが喫緊の課題として掲げられている。
[編集部]
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