改訂新版 世界大百科事典 「グンバイヒルガオ」の意味・わかりやすい解説
グンバイヒルガオ
seaside morning glory
Ipomoea pescaprae L.
世界中の熱帯の海岸の砂浜に見られるヒルガオ科の多年草。茎は地面をはい,各節から根を出す。葉は互生し,広楕円形から円形で,長さ3~6cm,先は2裂し,名前のように軍配形になる。花は腋生(えきせい)する花序に数花つき,花冠は漏斗形で,直径3~5cm,桃紫色,時に白色で,熱帯では周年咲き続ける。果実は卵円形で,種子は海水に浮き,長距離分散をする。日本の東北南部海岸でも,流れ着いた種子が発芽することはあるが,冬には枯れてしまい定着はしない。四国,九州の温暖地では開花結実する。根などを食料不足時に食用にしたという記録がある。全草は馬鞍藤(ばあんとう)の名で,痛み止めやはれものの薬にされ,また種子は腹痛に用いられるという。熱帯圏では,匍匐(ほふく)して茂る性質が砂浜の砂止めに利用される。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報