日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケイガイ」の意味・わかりやすい解説
ケイガイ
けいがい / 荊芥
[学] Schizonepeta tenuifolia Briquet
シソ科(APG分類:シソ科)の一年草。高さ60~80センチメートル。メントンを主成分とする精油を1~2%含有しているので全体に強い香りがある。茎は直立し、四稜(しりょう)形で、基部はやや紫色を呈し、上部は分枝し、全体に柔らかい短毛がある。葉は対生し葉柄があり、葉身は羽状に深く3~5裂し、裂片は線形をなし、長さ1.5~2センチメートルで全縁、葉脈は明らかでない。夏に枝端にまばらな花序をつけ、唇形花を開く。花冠は小さく淡紫紅色、上唇は2裂し小さく、下唇は3裂し大きい。萼(がく)は先で5裂し、雄しべは4本、上唇につく2本は短く、下唇につく2本は長い。子房は4裂し、花柱の先は2裂する。中国北部原産で、栽培は中国で広く行われているが、日本では少ない。アリタソウともよばれるが、アカザ科(APG分類:ヒユ科)のアリタソウと混同するので使用しないほうがよい。花期に全草をとり、乾燥したものを荊芥と称して薬とする。漢方では感冒で発熱、頭痛、咽喉(いんこう)痛を伴うとき、および腫(は)れ物や出血のあるときに用いる。
[長沢元夫 2021年9月17日]