コウノトリ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

(1) Ciconia boyciana; oriental stork コウノトリ目コウノトリ科。全長 100~129cm。風切,雨覆,小翼羽が黒色で,ほかの部分は白色。はまっすぐに伸びる大きな鶴嘴形をしている。鳴管筋の発達が悪いので成鳥は鳴かず,嘴を連続的に打ち合わせて音を出すクラッタリングディスプレイやコミュニケーションの手段として用いている。脚は赤い。ロシア東部や東アジア北部に繁殖分布し,中国南部などに渡って越冬する。日本では,かつて全国各地で繁殖していたが,1964年を最後にの孵化記録がなく,繁殖個体群としては絶滅した。これは狩猟や営巣場所の森林伐採で減少したうえ,第2次世界大戦以後の無秩序な農薬の大量散布によって,沼地,湿地などにすむザリガニ,カエル,魚類などが汚染され,であるこれらを通して農薬がコウノトリの体内に蓄積されたためである。毎年 1~2羽がユーラシア大陸から渡ってきて越冬する。近年,中国やロシアから提供された鳥を人工増殖して野外放鳥し,自然繁殖もするようになり,徐々に野生の生息数が増えている。
(2) Ciconiidae; storks コウノトリ目コウノトリ科の鳥の総称。19種からなり,どの種も全長が 1mをこす大型の鳥で,嘴や脚,首が長い。種によって異なるが,樹上や崖,人家の屋根の上などに営巣する。温帯から熱帯地域に分布し,水辺や草地に生息する。さまざまな動物質のものをとる。なかでもハゲコウ類(→オオハゲコウ)は,大型の肉食獣が狩りとった獣類の食べ残しや自然死した獣類の腐肉を好んで食べる。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

全長約1メートルで体重4~5キロ。を広げると2メートル前後になる。ドジョウフナのほか、カエル、ヘビなどを餌にする。ロシアや中国北部を中心に世界では約3千羽が生息している。国内ではかつて東北から九州まで広く分布していたが、明治時代以降の乱獲で激減。1971年に兵庫県豊岡市で、最後の野生の1羽が死んだ。 兵庫県は89年、旧ソ連から贈られたペアで繁殖に成功し、2005年に野生復帰を目指した放鳥を開始。07年に野外で生まれたヒナが巣立った。県立コウノトリの郷公園によると15年5月現在、野外で70羽が生息している。 欧州では「赤ちゃんを運ぶ鳥」という伝説が知られている。

(2015-06-02 朝日新聞 朝刊 徳島全県・1地方)

全長約1メートルで体重4~5キロ。翼を広げると2メートル前後になる。ドジョウやフナのほか、カエル、ヘビなどを餌にする。ロシアや中国北部を中心に世界では約3千羽が生息している。国内ではかつて東北から九州まで広く分布していたが、明治時代以降の乱獲で激減。1971年に兵庫県豊岡市で、最後の野生の1羽が死んだ。 兵庫県は89年、旧ソ連から贈られたペアで繁殖に成功し、2005年に野生復帰を目指した放鳥を開始。07年に野外で生まれたヒナが巣立った。県立コウノトリの郷公園によると15年5月現在、野外で70羽が生息している。 欧州では「赤ちゃんを運ぶ鳥」という伝説が知られている。

(2015-06-02 朝日新聞 朝刊 徳島全県・1地方)

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百科事典マイペディアの解説

コウノトリ科の鳥。翼長63cm。体は白く,翼は大部分黒色,脚は赤い。くちばしは東アジア産のものは黒褐色であるが,ヨーロッパ産の亜種シュバシコウでは赤い。ヨーロッパ,北アフリカ,中国北西部,ウスリー,朝鮮半島で繁殖し,北部のものは冬,南へ渡る。東アジアのものを別種とする説もある。日本では明治以前には各地で見られたが,1959年,兵庫県豊岡市での繁殖を最後に絶滅。大陸産のものがまれに渡来する。マツやその他高木上に営巣し,古来〈松上の鶴〉と誤称された。水田や湿地で魚類,カエル等を食べ,サギ類と違って飛ぶ時にはくびを長くのばす。その後1988年に多摩動物公園,1989年に兵庫県豊岡市で人工繁殖に成功し,飼育数が増加している。2005年には人工飼育中のコウノトリを再び野生へ戻す放鳥が同市で行われた。特別天然記念物。絶滅危惧IA類(環境省第4次レッドリスト)。
→関連項目ナベコウ

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