ナベコウ(その他表記)Ciconia nigra; black stork

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナベコウ」の意味・わかりやすい解説

ナベコウ
Ciconia nigra; black stork

コウノトリコウノトリ科全長 95~100cm。背丈も約 100cmで,脚と頸が長い。も長く,まっすぐで先がとがる。眼のまわりの裸出部位と,嘴,脚は赤い。羽色は白い胸の下部から腹を除き全身が黒く,緑色紫色の金属光沢がある。胸の羽毛は長く房状になっている。ヨーロッパ中部,南部からユーラシア大陸の中緯度地域を経てインドシナ半島北部,中国東部,東アジア北部までの地域と,アフリカ南部で繁殖する。ポルトガルジンバブエ南アフリカ共和国では留鳥ほかの地域で繁殖する鳥は渡りをし,アフリカ中南部,インド北部から中国南部,朝鮮半島で越冬する。開けた林や湿原草原河口などに生息し,樹上に枝などを積んで巣をつくる。魚食性だが,昆虫類や両生類爬虫類甲殻類なども食べる。日本には冬鳥(→渡り鳥)として渡来するが,数は非常に少ない。

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改訂新版 世界大百科事典 「ナベコウ」の意味・わかりやすい解説

ナベコウ (鍋鸛)
black stork
Ciconia nigra

コウノトリ目コウノトリ科の鳥。全長約95cm。コウノトリより少し小型で,胸以下の下面は白いが,そのほかは金属緑色を帯びた黒褐色である。くちばしと脚と眼の周囲は赤く,とくに繁殖期には鮮赤色となる。ユーラシア大陸の亜寒帯・温帯とアフリカの一部で繁殖し,主としてアフリカ,インド北部,中国南部などで越冬する。日本には冬鳥として渡来するが,数はきわめて少ない。越冬地では単独かつがいで川岸湖畔湿地水田などにすみ,魚類,カエル,昆虫類,タニシなどを食べている。この鳥はコウノトリよりは人を恐れ,人家近くで繁殖するのはまれである。森林帯の巨木山間の岩壁の岩棚の上に営巣する。巣は枯枝を積み重ねただけのもので,数年にわたって使われることが多い。1腹の卵数は3~5個。抱卵と育雛(いくすう)は雌雄が交代で行い,抱卵期間は約35日。動物園などでまれに飼われている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナベコウ」の意味・わかりやすい解説

ナベコウ
なべこう / 鍋鸛
black stork
[学] Ciconia nigra

鳥綱コウノトリ目コウノトリ科の鳥。全長約95センチメートル。頭頸(とうけい)部と背面は金属緑色を帯びた黒褐色で、胸以下の下面は白い。嘴(くちばし)と足と眼囲部は赤色。ヨーロッパから沿海州にかけてと南アフリカの一部で繁殖し、冬は主としてアフリカ、インド北部、中国南部で越冬する。日本には冬鳥として渡来するが、数は非常に少ない。越冬地では海岸、湖畔、湿地、水田などにすみ、小魚、カエル、昆虫類、タニシなどを食べる。人の少ない森林帯の巨木や山地の岩棚の上に営巣し、繁殖する。1腹の卵は3~5個、抱卵期間は約35日。動物園などでときどき飼われている。

[森岡弘之]


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百科事典マイペディア 「ナベコウ」の意味・わかりやすい解説

ナベコウ

コウノトリ科の鳥。翼長56cm。コウノトリよりやや小型で,腹が白いほかは全身が緑や紫がかった黒色。足とくちばしは赤い。ユーラシアの温帯域で繁殖し,冬季は南方へ渡る。日本ではまれな冬鳥。明るい森林で生活し,水辺で魚,カエルなどを食べる。

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世界大百科事典(旧版)内のナベコウの言及

【コウノトリ(鸛)】より

…分布は世界的だが,熱帯アジアとアフリカにすむ種が多い。日本には,コウノトリのほかに,ナベコウC.nigraがまれな冬鳥として渡来する。全長76~152cm。…

※「ナベコウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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