コミュナリズム(英語表記)communalism

翻訳|communalism

百科事典マイペディアの解説

元来は宗派または宗団間の対立を意味し,〈宗派主義〉ともいわれる。さらには,自らを優位として,言語民族なども含め,異なる文化をもつコミュニティを排斥しようとする立場をさす。とくにインドにおいては政治用語として,ヒンドゥー教徒とイスラム教徒間の対立関係をさす。歴史的には19世紀後半の国民会議派の台頭に対し,英国がイスラム教徒の政治意識を育成し,これに対抗させたことに原因がある。現在では,インドとパキスタンの対立に発展しているが,インド国内におけるヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立もこの名で呼ばれる。イスラム復興運動およびヒンドゥー至上主義を背景として,1980年代以降コミュナリズムの高まりがみられ,1992年にはアヨーディヤーのモスク破壊事件にいたった。反対語はセキュラリズムsecularismで,インドはこれを国是としている。
→関連項目アッサム問題パンジャーブ問題南アジア

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世界大百科事典 第2版の解説

字義としてはある共通の利害職業・言語・宗教で結ばれた社会集団が,他と区別して自らの特質あるいは優位性を強調せんとする思考様式であるが,インド史では特に同国の二大宗教であるヒンドゥー教とイスラムの信者間の関係について用いられる。ヒンディー語ではサンプラダーイワードsampradāywādという。両教徒間の対立関係という現象のみならず,両者の言語・民族また生活様式の共通性をも無視して,宗教の相違が両コミュニティ間の越え難い障壁であるとするイデオロギーの総体を指す。

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大辞林 第三版の解説

地方自治を尊重する立場。
人種・宗教・言語などの違いによる各集団の排他的な思想・行動。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (communalism)
① 地方分権自治主義。地方自治を尊重する立場。コミューン主義。
② 宗派主義。同一の宗教、言語をもつ地域社会の利害を優先させる考え方。特に、近代以降のインドにおけるヒンドゥー教徒とイスラム教徒(ムスリム)との対立問題に関連して用いる。

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