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コモンズ Commons, John Rogers

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

コモンズ
Commons, John Rogers

[生]1862.10.13. オハイオ,ホランズバーグ
[没]1945.5.11. フロリダ,フォートローダーデール
アメリカの経済学者。制度学派創設者の一人。オーバーリン・カレッジ,ジョンズ・ホプキンズ大学で学ぶ。ウェズレアン,オーバーリン,インディアナ,シラキューズの諸大学で教鞭をとり,1904~32年ウィスコンシン大学教授。また全米経済研究所 NBERをはじめ多くの公職に関与し,17年アメリカ経済学会会長。個人主義的資本主義に批判的で,人間生活の向上には秩序ある集団行動が必要であるとし,家族,株式会社,労働組合といった集団行動の組織体としての制度をおもに社会学的・社会思想史的観点から研究した。主著『資本主義の法律的基礎』 The Legal Foundations of Capitalism (1924) ,『集団行動の経済学』 The Economics of Collective Action (50) ほか著書多数。

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知恵蔵の解説

コモンズ

草原、森林、牧草地、漁場などの資源の共同利用地のこと。地球環境問題への対応が求められる中、グローバル・コモンズ(global commons)たる地球環境の保全にも示唆を与える営みとして、再び脚光を浴びている。近年では、自然環境や自然資源そのものを指すというよりも、それぞれの環境資源がおかれた諸条件の下で、持続可能な様式で利用・管理・維持するためのルール、制度や組織であると把握されている。19世紀の英国では、都市化や工業化に伴うオープン・スペースの破壊に反対し、コモンズの保全運動が始まり、その過程でナショナル・トラストも生まれた。日本の入会(いりあい)も、一定地域の住民が特定の権利をもって、一定の範囲の森林・原野、漁場などに入り、木材や魚の採取など共同利用することを指し、コモンズの一種といえる。近代化の過程で農村型社会にあった多くのコモンズが消滅してきたが、コモンズが有していた機能を現代的に再生する管理組織のあり方や、それが成り立つ条件の解明が求められている。

(植田和弘 京都大学大学院教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉の解説

コモンズ(John Rogers Commons)

[1862~1945]米国の経済学者。T=ベブレンとともに制度学派の創始者。著「制度派経済学」「集団行動の経済学」「資本主義の法律的基礎」など。

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世界大百科事典 第2版の解説

コモンズ【John Rogers Commons】

1862‐1945
アメリカの経済学者。T.ベブレンとともに制度学派の始祖。オハイオ州に生まれ,オバーリン大からジョンズ・ホプキンズ大大学院に進み,歴史学派の流れをくむ経済学者イリーRichard T.Ely(1854‐1943,アメリカの経済学者,制度学派の先駆者)の指導のもとで社会改良主義的経済思想を学んだ。1892年以降ウェズレヤン大をはじめいくつかの大学で経済学等を教えるが,その懐疑主義的・進歩主義的思想傾向のために98年大学を追放された。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

コモンズ【commons】

〔共有地・公有地の意〕
所有権が特定の個人でなく共同体や社会全体に属する資源。入会地、公海の水産資源など。

コモンズ【John Rogers Commons】

1862~1945) アメリカの経済学者・社会改良運動家。 T =ベブレンとならぶ制度学派の祖。家族や株式会社などの個別的経済行動と制度との関係を明らかにしようとした。著「アメリカ労働史」「資本主義の法的基礎」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

コモンズ
こもんず
John Rogers Commons
(1862―1945)

アメリカの経済学者。ベブレンに次ぐ制度派経済学の建設者。オーバリン大学からジョンズ・ホプキンズ大学に学び、イリーRichard Theodore Ely(1854―1943)の指導を受けた。1904年ウィスコンシン大学教授に就任後、多くの著作を著して制度派経済学の基礎を築いた。彼は労働、産業、貨幣経済などについて各種の調査研究を行ったが、これは州や連邦政府レベルでの具体的な社会経済組織の改革を目的とするものであった。数十年にわたる社会経済的諸改革のための調査研究と経験に理論的根拠を与える体系的著作として、『資本主義の法律的基礎』Legal Foundations of Capitalism(1924)、『制度派経済学』Institutional Economics(1934)を公刊したが、これらは彼の死後出版された『集団行動の経済学』The Economics of Collective Action(1950)とともに、彼の代表的著作をなす。
 彼はダーウィンの進化論的歴史観やプラグマティズムを摂取しつつ、正統派経済学に方法論的批判を加え、個人行動にかわって集団の経済行動に分析の焦点をあわせた。彼は一方でアメリカの「銀行家資本主義」を批判するとともに、他方で共産主義やファシズムをも自由の抑圧のゆえに退けた。彼の目標は、私有財産制と個人の創意を基礎としつつ、相対立する諸利害の調整者としての国家の役割を認める「集団的産業民主主義」によって「適正価値」を実現し、福祉を高める「適正な資本主義」へと変革してゆくことであった。[田中敏弘]

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世界大百科事典内のコモンズの言及

【制度学派】より

…これに加えて,ソーシャル・ダーウィニズムの社会観やプラグマティズムの認識論の影響もあって,アメリカに特有のインスティチューショナリズムつまり制度主義の経済学派が成立したわけである。その先史としては,R.T.イリーやJ.B.クラークといったドイツ歴史学派の洗礼を受けた経済学者の仕事を挙げることができるが,制度学派を確立したのはT.ベブレン,J.R.コモンズそしてW.C.ミッチェルである。この3者の間にも多くの理論的および思想的な違いがあるが,おおまかにくくれば,功利主義的な快苦の心理法則にもとづく個人主義的社会観にかえて,政治的,社会的そして文化的な諸要因との深いつながりのもとに創造され進化していくものとして経済制度をとらえる観点を採用するところに,制度学派の本質がある。…

※「コモンズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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