コンディヤック(英語表記)Étienne Bonnot de Condillac

デジタル大辞泉 「コンディヤック」の意味・読み・例文・類語

コンディヤック(Étienne Bonnot de Condillac)

[1715~1780]フランス哲学者ロック経験論を徹底させた感覚論哲学をうちたてた。著「感覚論」「体系論」など。

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精選版 日本国語大辞典 「コンディヤック」の意味・読み・例文・類語

コンディヤック

  1. ( Étienne Bonnot de Condillac エティエンヌ=ボノ=ド━ ) フランスの哲学者。ロックの認識論をさらに徹底させ、すべての精神活動の源泉を感覚に帰した。主著人間認識起源に関する試論」「感覚論」など。(一七一五‐八〇

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改訂新版 世界大百科事典 「コンディヤック」の意味・わかりやすい解説

コンディヤック
Étienne Bonnot de Condillac
生没年:1715-80

フランスの哲学者。法服貴族マブリ子爵を父としてグルノーブルに生まれた。パリで神学を学び,1740年僧職につく。当時まだ無名ディドロ,ルソーたち新時代の知識人と親しく交わった。58年から9年間ルイ15世の孫,大公子フェルディナンの家庭教師としてイタリアのパルマに滞在,のちにその《講義録》(1775)を出版した。67年に帰国,翌年フランス・アカデミーの会員に選ばれた。晩年はボジャンシーの近くの田園に隠棲した。哲学的主著には,《人間認識の起源に関する試論》(1746)と《感覚論》(1754)がある。前者ではロックの学説継承し,人間の認識の起源として感覚と反省の二つを認める立場をとった。しかし後者では,この立場をさらに徹底させ,人間の精神活動のいっさい(記憶,判断,欲望)を感覚の変形として一元的に説明した。この理論を証明するために彼が構想したのが,〈私たちと同じように内部が組織されている〉立像で,この立像に順次賦与した嗅覚聴覚,味覚,視覚,触覚の組合せによってしだいに精神的機能が形成されていく様相を,思考実験的に示した。なお彼は当時のエコノミストと直接のかかわりはなかったが,その著書《商業と統治との相関的考察》(1776)によって,近代経済学の創始者の一人とみなされている。
感覚論
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百科事典マイペディア 「コンディヤック」の意味・わかりやすい解説

コンディヤック

フランス啓蒙期の哲学者。ディドロ,ルソーらと交遊,ロックの経験論を継承し徹底させた近代感覚論の代表者。著書《人間認識の起源に関する試論》(1746年)《感覚論》(1754年)。
→関連項目デステュット・ド・トラシー

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旺文社世界史事典 三訂版 「コンディヤック」の解説

コンディヤック
Etienne Bonnot de Condillac

1715〜80
フランスの啓蒙主義思想家で,感覚論の代表者
ロックの経験論を批判的に継承発展させ,人間の精神の諸能力はすべて感覚の変形・結合によると考えた。主著は『感覚論』『人間の認識の起源に関するエッセイ』。

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世界大百科事典(旧版)内のコンディヤックの言及

【感覚論】より

…いっさいの認識は感覚のみに由来すると主張するか,それとも感覚がいっさいの認識の必要,かつ十分な条件であると主張する哲学的立場。sensualisme(感覚論)という用語は19世紀初頭以来,フランスで使われており,フランスの《アカデミー辞典》には,1878年版から採録されている。イギリスでは,sensualistという語は,すでに18世紀以来使用されていたが,この語は語源どおり〈快楽主義的〉〈肉欲主義的〉という軽蔑的意味しかもっていなかった(バークリー《アルシフロン》第2巻,16章)。…

【啓蒙思想】より

…17世紀,18世紀の西欧で近代市民階層の台頭にともなって広くおこなわれ,市民社会形成の推進力となった思想運動の総称。上記の英語名も,ドイツ語のAufklärung,フランス語のlumièresも,いずれも光ないし光によって明るくすることを意味する。〈自然の光〉としての人間生得の〈理性〉に全面的に信頼し訴え,各人があえてみずから理性の力を行使することによって,カントの言い方によれば,〈人間がみずからに負い目ある未成熟状態から脱すること〉へと働きかけ,こうして,理性的自立的な人格の共同体の実現を目指すことにその目標はあったと考えられる。…

【心】より

…知,情,意によって代表される人間の精神作用の総体,もしくはその中心にあるもの。〈精神〉と同義とされることもあるが,精神がロゴス(理性)を体現する高次の心的能力で,個人を超える意味をになうとすれば,〈心〉はパトス(情念)を体現し,より多く個人的・主観的な意味合いをもつ。もともと心という概念は未開社会で霊魂不滅の信仰とむすびついて生まれ,その延長上に,霊魂の本態をめぐるさまざまな宗教的解釈や,霊魂あるいは心が肉体のどこに宿るかといった即物的疑問を呼び起こした。…

※「コンディヤック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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