コンドル(鳥)(読み)こんどる(英語表記)condor

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンドル(鳥)」の意味・わかりやすい解説

コンドル(鳥)
こんどる
condor

広義には鳥綱タカ目コンドル科に属する鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。この科Cathartidaeには7種があり、南北アメリカに分布する。旧世界のハゲワシ類に相当する死肉食猛禽(もうきん)であるが、分類上は両者の類縁は遠い。また英語ではcondorはコンドル科の大形種のみをさし、中形種にはハゲワシ類の英名vultureがあてられているが、標準和名では分類上の区分どおり、コンドル科のものはすべてコンドルとよんで、ハゲワシ類とは区別している。

 種としてのコンドルVultur gryphusは南アメリカのアンデス山脈にすみ、全長約1.1メートル、翼開長は3メートルを超え、体重も10キログラムあるという巨大な鳥である。体は灰黒色、翼は灰白色、裸出した頭は紫褐色をしている。頸(くび)の部分には、白い綿羽が襟巻のような輪状になっている。雄にはとさか状の肉冠と肉垂れがある。つめも、鉤(かぎ)形に先の曲がった(くちばし)も、他のワシ類ほど鋭くなく、まれに家畜を襲うこともあるが、主食とするのは動物の死体である。世界各国の動物園でよく飼われている。

 カリフォルニアコンドルGymnogyps californianusは北アメリカ西部に分布し、先のコンドルに匹敵するような大形種で、数が少ないため国際保護鳥に指定されている。クロコンドルCoragyps atratusは南北アメリカに広く分布し、全長約60センチメートルと中形種である。その名のとおり体も頭も全体が黒い。動物の死体やごみ捨て場に集まる。トキイロコンドルSacrorhamphus papaは中央・南アメリカに分布し、全長約80センチメートル、体は黒と淡いピンク色をしている。頭部は赤と紫黒色で、肉垂れがある。森林にすみ、動物の死体を食べる。ヒメコンドルCathartes auraはカナダ南部からフエゴ島にかけて分布している。全長約70センチメートル、体は黒く、裸出した頭部は赤い。草原、砂漠、森林などいろいろな環境にすむ。嗅覚(きゅうかく)がたいへん鋭く、死肉を発見するときは腐ったにおいでかぎつけるという。一定の木に集まってねぐらをとる。キガシラヒメコンドルCathartes burrovianusは南アメリカに分布し、全長約60センチメートル、体は黒く頭部は橙黄(とうこう)色。オオヒメコンドルCathartes melambrotusも南アメリカに分布し、前種によく似ているが、やや大きくて全長約70センチメートルある。前種と同種とする学者もある。

高野伸二


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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