ペルセウス(読み)ぺるせうす(英語表記)Perseus

翻訳|Perseus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペルセウス」の意味・わかりやすい解説

ペルセウス
Perseus

ギリシア神話の英雄。アルゴスアクリシオス王は,王女ダナエの生む子に殺されるという神託の成就をはばむため,彼女を青銅の地下室に閉じ込めたが,ゼウスは黄金の雨となって彼女を訪れ,ペルセウスを生ませた。生後すぐアクリシオスによって母とともに箱に入れられて海に流されたが,セリフォス島に漂着し,この島の王ポリュデクテスの兄弟の漁師ディクテュスに助けられてその家で養育された。ダナエに思いを寄せるようになったポリュデクテスは,じゃまになる彼を亡き者にしようとして,ゴルゴのメドゥサの首を取ってくることを命令した。彼はアテナヘルメスに教えられて,まず3人でただ1つの目と歯をもつ女怪グライアイのところに行き,彼女たちからその目と歯を奪い,それを返す代償に,見た者を石にしてしまうゴルゴの首を取るのに必要な魔法の品をもつニンフたちのところに行く道を聞き出した。これらの品を手に入れると,それを使い,アテナに助けられてメドゥサの首を得ることができた。帰途エチオピアで怪物のえじきにされようとしていた王女アンドロメダを助けて結婚した。セリフォスに着くと,ポリュデクテスを家来たちと一緒に石に変えてダナエをその迫害から救い,そのあとで祖父のアクリシオスの認知を受けようとしてアルゴスに行ったが,ラリッサで競技の最中彼が投げた円盤が当り,神託の予言どおり祖父を殺してしまった。ペルセウスはアルゴスに戻ることをはばかり,従兄弟のメガパンテスと領国を交換してティリュンスの王となり,アンドロメダとの間にアルカイオスステネロス,エレクトリュオンそのほかの子をもうけたとされる。

ペルセウス[マケドニア王]
ペルセウス[マケドニアおう]
Perseus

[生]前212頃
[没]前165頃.アルバ・フケンス
マケドニア王 (在位前 179~168) 。フィリッポス5世の子。即位後ローマとの同盟を更新したが,ギリシア政局に介入し,ペルガモン王国対立,ついにローマと第3次マケドニア戦争を開いた。前 168年マケドニア南部のピドナの戦いでローマの練達の将軍パウルス・マケドニクスに敗れ,サモトラケで捕えられ,パウルスの凱旋式に連行され,3年後に没。彼の没落とともにマケドニア王国は滅亡した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペルセウス」の意味・わかりやすい解説

ペルセウス
ぺるせうす
Perseus

ギリシア神話の英雄。ゼウスとダナエの子。アルゴスの王アクリシオスは、娘の生む子に殺されるであろうという神託を受けたため、娘ダナエを男の手の届かないよう青銅の塔に幽閉する。しかし、ゼウスが黄金の雨となって彼女のもとに通い、ペルセウスが生まれる。これを知ったアクリシオスは、娘と孫を箱に入れて海に流すが、箱舟はセリフォス島に流れ着き、2人はそこの漁師に保護される。やがてダナエは島の王に横恋慕され、母を守るペルセウスは世界の西の果てから怪物ゴルゴンの首を取ってくることを命じられる。ゴルゴンをまともに見た者は石になってしまうが、彼は女神アテネから磨きあげた青銅の盾を、またヘルメスからは金剛の鎌(かま)を、ニンフからは空飛ぶ靴と隠れ蓑(みの)を借り、敵には見られないように空から接近して、盾に写した姿を見ながらゴルゴンの1人メドゥサの首をとることに成功した。

 帰り道、エチオピアの王女アンドロメダが海の怪物への生贄(いけにえ)として岸壁に縛り付けられているのに行き会い、メドゥサの首で怪物を退治したうえ、王女を妻にした。そしてセリフォス島に帰り着くや、母親に言い寄る島の王にメドゥサの首を見せて石にした。こののちペルセウスは、母と妻を伴い祖国アルゴスへ向かうが、祖父アクリシオスは昔の神託を思い出して遠国へと逃れる。しかしそうとは知らないペルセウスも、その地で行われる葬送競技に参加して円盤を投げ、それが観戦中のアクリシオスに当たって彼を殺してしまう。

[中務哲郎]

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