ゴレンシ(その他表記)carambola
Averrhoa carambola L.

改訂新版 世界大百科事典 「ゴレンシ」の意味・わかりやすい解説

ゴレンシ
carambola
Averrhoa carambola L.

熱帯地方に栽培されるカタバミ科の常緑高木。高さ6~12m。葉は7~9枚の卵形の小葉からなる羽状複葉。枝先や幹のわきに短い円錐花序をつけ,多くの小さな花をつける。花は淡紅色,放射相称に広がる5枚の花弁があり,径5~6mm。果実は5本の翼状の稜をもち,長さ10cmほどの長楕円形で黄緑色,横断面は五角の星形をしている。中国では羊桃といい,また果実の形から五斂子(ごれんし)と呼ばれ,star fruitともいう。五稜の黄緑色の果実は特異な美しさがあって,熱帯では広く生食されるし,ピクルスにも利用される。若いものはシュウ酸酸みが強いが,熟すと甘くなる。また果実は中国で解熱解毒などに利用される。

 この属にはもう1種ビリンビンA. bilimbi L.がある。果実は小さく長さ5~8cmで稜は著しくない。酸みが強く甘みはないが,ピクルスや清涼飲料にされる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴレンシ」の意味・わかりやすい解説

ゴレンシ(五斂子)
ゴレンシ
Averrhoa carambola; carambola

カタバミ科の常緑高木で,原産モルッカ諸島ともいわれるが古くからマレー地方で栽培されていた。熱帯アジアを中心に果樹として栽培されている。高さ数mとなり,羽状複葉を互生する。小葉は3~5対あり,先端のもの (頂小葉) は特に大きい。葉腋から円錐花序を出し,淡紅色の5弁の小花を多数つける。果実は長さ 10cmほどの楕円体状で,縦に5本の稜がひだのように張出している。全体は黄金色に熟し光沢がある。果肉は甘ずっぱみがあって多汁,生食用やジャムなどに用いる。なお,同属の近縁植物にビリンビン A. bilimbi; bilimbiがあり熱帯アジアや中南米で栽培されているが,この果実は辛みがきつく,香辛料に使われるもので生食には適さない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴレンシ」の意味・わかりやすい解説

ゴレンシ
ごれんし / 五斂子
[学] Averrhoa carambola L.

カタバミ科(APG分類:カタバミ科)の常緑小高木。インドネシア東部のモルッカ諸島原産。葉は奇数羽状複葉で、長さ15センチメートル。花は紫色、5~6ミリメートルで、腋生(えきせい)の小円錐(えんすい)花序につく。花柱5、雄しべ10本、うち5本は短く不完全。果実は黄緑色、凹凸のある五稜(ごりょう)形で断面は星形。一般には英名からとられたスターフルーツという名称で販売されている。重さ30グラム。甘味、酸味の変異が広く、生食、漬物、ゼリー、ジャムとする。

[飯塚宗夫 2020年5月19日]


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