ゴンブリッチ(読み)ごんぶりっち(英語表記)Sir Ernst Hans Josef Gombrich

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴンブリッチ」の意味・わかりやすい解説

ゴンブリッチ
ごんぶりっち
Sir Ernst Hans Josef Gombrich
(1909―2001)

ウィーン生まれの美術史学者。図像学権威として知られる。ウィーン大学で美術史を学んだが、ナチスの時代にイギリスに渡り、のちロンドン大学教授、ウォーバーグ(ワールブルク)研究所所長などを務める。その間、英米の各地の大学で客員教授を歴任英国アカデミー会員であった。美術史研究において様式の問題を扱う際、現代の知覚心理学の成果を生かして独特な方法論を打ち立てた。主著に『美術の歩み』(1950)、『芸術幻影』(1960)、『木馬に托(たく)しての思索』(1963)、『The Sense of Order(装飾芸術論)』(1979)など。

鹿島 享]

『E・H・ゴンブリッチ著、白石和也訳『装飾芸術論』(1989・岩崎美術社)』『E・H・ゴンブリッチ著、下村耕史他訳『芸術と進歩――進歩理念とその美術への影響』(1991・中央公論美術出版)』『E・H・ゴンブリッチ著、大原まゆみ他訳『シンボリック・イメージ』(1991・平凡社)』『E・H・ゴンブリッチ著、二見史郎他訳『棒馬考――イメージの読解』増補完訳版(1994・勁草書房)』『E・H・ゴンブリッチ著、岡田温司・水野千依訳『規範と形式――ルネサンス美術研究』(1999・中央公論美術出版)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ゴンブリッチ」の意味・わかりやすい解説

ゴンブリッチ
Ernst Hans Josef Gombrich
生没年:1909-2001

オーストリア出身の美術史家。生地ウィーンで教育を受けた後,1936年ロンドンのワールブルク(ウォーバーグ)研究所に入り,59-76年所長。美術作品の社会的・理論的背景の研究,図像学的研究,心理学的研究を三つの柱として,今なお精力的な研究を続けており,ことに方法論の問題に対する意識の鋭さには定評がある。主要著書《美術の歩みThe Story ef Art》(1950,邦訳1972,74),《芸術と幻影》(1960,邦訳1979),《ノルムフォルム》(1966),《秩序感覚》(1970)など。
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百科事典マイペディア 「ゴンブリッチ」の意味・わかりやすい解説

ゴンブリッチ

オーストリア出身,英国の美術史家。ウィーンに生まれ,ウィーン大学でJ.vonシュロッサーに師事。1936年ワールブルク(ウォーバーグ)研究所助手,1959年―1976年同所長。ワールブルク学派の代表者のひとりで,美術の社会史的・心理学的研究に定評がある。著書《美術の歩み》(1950年),《芸術と幻影》(1960年),《規範ノーム)と形態(フォーム)》(1966年),《アビ・ワールブルク伝》(1970年),《シンボリック・イメージ》(1972年)ほか。
→関連項目ワールブルク

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