日本大百科全書(ニッポニカ) 「サマルスキー石」の意味・わかりやすい解説
サマルスキー石
さまるすきーせき
samarskite-(Y)
複酸化鉱物で放射能鉱物の一つ。花崗(かこう)岩質ペグマタイト中に産する。自形は短柱状で柱面、ときに庇(ひ)面がよく発達し、単斜晶系の特徴を示すことがある。通常はメタミクト状態で産する。メタミクト状態とは、鉱物自体のもつ放射能によって結晶質でなくなることをいう(加熱によって再結晶する)。鉄コルンブ石とよく共存するが、フェルグソン石とは共存しない。ロシア鉱山技術局長サマルスキー・ビホベッツVasilii Yefrafovich von Samarski-Bykhovets(1803―1870)にちなんで命名された。英名の-(Y)は、希土類元素を主成分とする鉱物において、原子数がもっとも多量に含まれているものの元素記号を、接尾語で示す規定による。元素記号が異なると、語幹の鉱物は同一でも別種の扱いを受ける。サマルスキー石は現在イットリウムが卓越したsamarskite-(Y)のみ知られている。
[加藤 昭 2016年9月16日]