日本大百科全書(ニッポニカ) 「グラショー」の意味・わかりやすい解説
グラショー
ぐらしょー
Sheldon Lee Glashow
(1932― )
アメリカの物理学者。ニューヨークに生まれる。コーネル大学を卒業後、ハーバード大学大学院の物理学科に進み、シュウィンガーの指導を受け、1959年に博士号を取得した。1958年から1960年にかけてデンマークへ行き、コペンハーゲンの理論物理学研究所(現、ニールス・ボーア研究所)などで2年間研究した。帰国後は、1960年から1966年まで、カリフォルニア工科、スタンフォード、カリフォルニアの各大学で研究および教育に従事したのち、1966年ハーバード大学教授に就任した。
学生時代から素粒子間の相互作用を研究、弱い相互作用と電磁相互作用の統一(ゲージ理論)を試みて、中性の四次元の流れ(カレント)とチャーム粒子の存在を予想した。これはのちにワインバーグ‐サラムの理論として具体化されるに至った。その後もクォーク模型について考察し、GIM機構(Glashow-Ilipoulos-Maiani mechanism)を提唱するなど、統一場理論の発展に貢献した。1979年ワインバーグ、サラムとともに、「電磁相互作用と弱い相互作用の統一理論への寄与、弱い中性カレントの予言」によりノーベル物理学賞を受賞した。なお、ワインバーグとは高校、大学の学友であった。
[編集部]
『シェルダン・L・グラショウ著、本間三郎訳『素粒子物理に未来はあるか――グラショウ教授が語る』(1994・丸善)』▽『藤井昭彦訳『クォークはチャーミング――ノーベル賞学者グラショウ自伝』(1996・紀伊國屋書店)』