シキミ酸(読み)シキミサン

デジタル大辞泉 「シキミ酸」の意味・読み・例文・類語

シキミ‐さん【シキミ酸】

植物体において、芳香族化合物リグニン中間体として機能する有機化合物シキミから見出されたが、多くの植物に見られる。近年、インフルエンザ治療薬オセルタミビル(商品名タミフル)の原料として用いられる。化学式C7H10O5

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化学辞典 第2版 「シキミ酸」の解説

シキミ酸
シキミサン
shikimic acid

(3R,4S,5R)-trihydroxy-1-cyclohexene-1-carboxylic acid.C7H10O5(174.15).シキミIllicium religiosum果実から見いだされたのでこの名称がある.多くの植物中にキナ酸とともに分布している.無色の針状晶.融点190~191 ℃.1.599.-157°(メタノール).λmax 213 nm(ε 8.9×103).pKa 4.15.シキミ酸は植物体内でキナ酸とともにヘプトース誘導体の閉環によって生成し,芳香族化合物の生合成の重要な中間体である.LD50 1000 mg/kg(マウス腹腔).ラセミ体の融点191~192 ℃.[CAS 138-59-0]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「シキミ酸」の意味・わかりやすい解説

シキミ酸 (しきみさん)
shikimic acid



シキミの果実からエイクマンC.Eijkmanが抽出単離(1885)した芳香族カルボン酸で,シキミの果実に約25%(風乾量),葉に0.5%(湿重量)含まれる。チロシンフェニルアラニンなどの芳香族アミノ酸の前駆体として重要で,シキミ酸経路と呼ばれる代謝経路を経て,これらのアミノ酸が合成される。この経路は高等植物に広く知られている。またタンニンの主要成分である没食子酸の前駆体でもある。シキミ酸の生合成は,ヘキソースリン酸分路またはペントースリン酸回路と呼ばれる経路に由来するエリトロース-4-リン酸と解糖によって生じるホスホエノールピルビン酸結合によって行われる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シキミ酸」の意味・わかりやすい解説

シキミ酸
シキミさん
shikimic acid

融点 184℃の結晶。シキミの果実中から見出された。植物での芳香族化合物の生合成中間体として,キナ酸とともに重要な役割をもつものと考えられている。

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