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シャルガフ Erwin Chargaff

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世界大百科事典 第2版の解説

シャルガフ【Erwin Chargaff】

1905‐2002
オーストリア生れの生化学者。ウィーン大学卒業後アメリカに渡り(1935),コロンビア大学で核酸の研究を続けた(1952年に教授)。デオキシリボ核酸(DNA)の塩基組成においてアデニン(A),グアニン(G),チミン(T),シトシン(C)は必ずしも1/4ずつということではないが,AとTおよびGとCの量が等しいという関係,したがってプリン(A+G)=ピリミジン(T+C)という関係があることを確証した。このいわゆる〈シャルガフの規則〉は,J.D.ワトソンとF.H.C.クリックによるDNA二重らせんモデル構築にあたり,大きな手がかりとなったが,シャルガフ自身にはノーベル賞は与えられなかった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

シャルガフ
しゃるがふ
Erwin Chargaff
(1905―2002)

オーストリア系アメリカ人の生化学者。ウィーン大学で学位を得、1939年渡米してコロンビア大学に勤務する。エーブリーの細菌の形質転換の報告に興味をひかれ、種の特異性を定めるデオキシリボ核酸(DNA)には化学的な差があるはずであると考え、ペーパークロマトグラフィーを用いて核酸中の塩基の定量的測定を行った。1949年、DNAの塩基比が種によって異なることを明らかにし、テトラヌクレオチド仮説が誤りであることを示すとともに、プリンとピリミジンの分子数の比がほとんど1であり、また塩基のアデニンとチミン、グアニンとシトシンの分子数の比もほぼ1であることをみいだした。この関係はシャルガフ比とよばれる。アデニンとチミン、グアニンとシトシンとが相補的に対合していることを示唆するこの関係は、ワトソンとクリックが競争相手に先んじて正しいDNA構造モデルに到達するうえでの決め手となった。また優れた文筆家としても知られ、『Heraclitean Fire』(1978年。邦訳『ヘラクレイトスの火』)のほか、『Serious questions』(1986年。邦訳『重大な疑問』)、『Vermchtnis』(1992年。邦訳『人間の生の遺産』)など文明批評的色彩の強い著書がある。[石館三枝子]
『村上陽一郎訳『ヘラクレイトスの火――自然科学者の回想的文明批判』(1980・岩波書店) ▽エルヴィン・シャルガフ著、山本尤・内藤道夫訳『過去からの警告』(1990・法政大学出版局) ▽山形和美・小野功生・佐藤和代・田中一隆訳『重大な疑問――懐疑的省察録』(1992・法政大学出版局) ▽エルヴィン・シャルガフ著、山本尤・内藤道雄訳『不可解な秘密――自然のための、そして自然に抗する戦いとしての科学』(1993・法政大学出版局) ▽エルヴィン・シャルガフ著、山本尤・伊藤富雄訳『未来批判――あるいは世界史に対する嫌悪』(1994・法政大学出版局) ▽エルヴィン・シャルガフ著、山本尤・内藤道雄訳『証人――言葉と科学についての省察』(1995・法政大学出版局) ▽エルヴィン・シャルガフ著、山本尤・伊藤富雄訳『懐疑的省察ABC――続・重大な疑問』(1997・法政大学出版局) ▽清水健次他訳『人間の生の遺産』(1998・法政大学出版局)』

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