シュポーア(その他表記)Louis Spohr

精選版 日本国語大辞典 「シュポーア」の意味・読み・例文・類語

シュポーア

  1. ( Louis Spohr ルイ━ ) ドイツバイオリニスト、作曲家。少年時代から演奏家として活躍し、作曲面でも国民オペラ成立貢献。一九世紀前半のドイツ‐ロマン派を代表する一人作品に、オペラ「ファウスト」「イエソンダ」、バイオリン協奏曲(全一五曲)などがある。(一七八四‐一八五九

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改訂新版 世界大百科事典 「シュポーア」の意味・わかりやすい解説

シュポーア
Louis Spohr
生没年:1784-1859

ドイツのバイオリン奏者,作曲家,指揮者。ヨアヒム以前のドイツ最大のバイオリン奏者であり,初期ロマン派の主要な器楽作曲家の一人。フランスのバイオリン奏者P.ロードとビオッティの影響を受け,ロマン的で抒情性豊かなバイオリン奏法を確立した。作風は,モーツァルトの優美さと共に,大胆な半音階的和声を追求している。代表作に《バイオリン協奏曲第8番》(1816)があり,優れた《バイオリン教則本》(1831)を残した。また《ファウスト》(1816初演)ほかのオペラによってドイツ国民オペラの発展に貢献,指揮者としてもまだ珍しかった指揮捧を採用するなど積極的に活躍。
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百科事典マイペディア 「シュポーア」の意味・わかりやすい解説

シュポーア

ドイツの作曲家,バイオリン奏者,指揮者。ドイツ北部のブラウンシュワイク生れ。ヨーロッパ各地でバイオリン奏者,指揮者として活動し,ドイツ随一のバイオリン奏者と評された。指揮棒をいち早く採用し,指揮者としても名声を高める一方,オラトリオやオペラ《ファウスト》(初演1816年)で作曲家としての地位を確立。1822年カッセルの選帝侯宮廷楽長,のち音楽総監督に就任し,この地で生涯を閉じた。モーツァルトを範とし,大胆な半音階技法を加味した流麗な音楽様式で名高く,交響曲,協奏曲,弦楽四重奏曲などの器楽作品を多数残した。代表作の一つ《バイオリン協奏曲第8番・劇唱の形式で》(1816年)は,単一楽章形式の協奏曲の先駆として知られる。また,2組の弦楽四重奏団のための複四重奏曲など,特殊な形式の作品も残している。
→関連項目弦楽四重奏指揮(音楽)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュポーア」の意味・わかりやすい解説

シュポーア
しゅぽーあ
Louis Spohr
(1784―1859)

ドイツの作曲家、バイオリン奏者、指揮者。ブラウンシュワイクに生まれる。同地に学んだのち、シュターミッツ門下のバイオリン奏者フランツ・エックに師事し、ともに演奏旅行を行う。1812~15年アン・デア・ウィーン劇場の楽長を務め、名バイオリン奏者ロードやパガニーニと出会う。フランクフルト市立劇場楽長を経て、22~57年カッセル宮廷楽長を務め、同地で世を去った。モーツァルトの影響のもとに甘美な旋律性に富んだ作風で、メンデルスゾーン、シューベルトと並ぶ初期ロマン派に属するとみなされている。作品はオペラ、交響曲、室内楽曲など多数あるが、15曲のバイオリン協奏曲がとくに有名。

[樋口隆一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シュポーア」の意味・わかりやすい解説

シュポーア
Spohr, Louis

[生]1784.4.5. ブラウンシュワイク
[没]1859.10.22. カッセル
ドイツ・ロマン派初期の作曲家。バイオリニストとしても活躍し,独奏楽器としてのバイオリンに真のロマン的抒情性を与え,種々の技巧的改革とともに,ロマン派のバイオリン音楽の扉を開いた。オペラの分野では,『ファウスト』や『イェソンダ』などの作品を書いて,C.ウェーバーとともに,ドイツ国民オペラの成立に大きな役割を果した。管弦楽では複数楽器のための交響協奏曲,クラリネット協奏曲,交響曲が重要。モーツァルトの影響を示しながら,ワーグナーの革新的音楽も認め,自由な市民精神にあふれる独自の様式を確立。

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世界大百科事典(旧版)内のシュポーアの言及

【ハープ】より

… 最後にヨーロッパのハープ音楽のレパートリーについて触れる。シングル・アクションのハープ音楽に先駆的な貢献をした作曲家には,クルンプホルツJohann Baptist Krumpholtz(1742‐90),ドゥシークJan Ladislav Dussek(1760‐1812),シュポーアがいる。ハープが18世紀のオーケストラに初めて取り入れられたのは,神話や伝説に基づくオペラであり,その最初期の例にはグルックの《オルフェオとエウリディーチェ》(1762)があげられる。…

【ファウスト】より

…【河原 忠彦】
[音楽]
 ファウストを題材とした音楽作品は,劇音楽,声楽,管弦楽曲と幅広くあり,ゲーテの《ファウスト》によるものが最も多い。(1)ゲーテ以前の民話によるものにシュポーア作曲のオペラ《ファウスト》(1813)があり,1816年プラハで初演された。(2)ゲーテによるもの (a)ベルリオーズが1846年パリのオペラ・コミック劇場で演奏会形式で上演した劇的伝説《ファウストの劫罰(ごうばつ)》(1846)。…

※「シュポーア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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